サイクロン(熱帯低気圧)の概要と分類

📌 主なポイント
- ✓サイクロンはインド洋北部・南部および太平洋南部で発生する熱帯低気圧の呼称である。
- ✓語源はイギリス人のヘンリー・ピディントンが1940年代に提案したギリシャ語に由来する。
- ✓台風やハリケーンとは発生する地域による名称の違いであり、現象としての本質的な差はない。
サイクロン(Cyclone)は、インド洋北部、インド洋南部、および太平洋南部で発生する熱帯低気圧の呼称である。英語における「Cyclone」という語自体は、低気圧や暴風全般を指す場合もあるが、気象学の文脈では特定の地理的領域における熱帯低気圧を意味する。北西太平洋における台風や、北大西洋・北東太平洋におけるハリケーンとは発生する地域による名称の違いであり、気象現象としての本質的な差異はない。

語源
「サイクロン」という言葉を最初に紹介したのは、元海兵隊の船長で暴風の研究を行っていたイギリス人のヘンリー・ピディントンである。彼は1789年にコリンガを襲った猛烈な暴風に着目し、1840年の学術的な会合でその危険性について発表した。
ピディントンは1848年に刊行した著書『船乗りのための嵐の法則についての手引き』の初版において、あらゆる旋風を指す言葉として、とぐろを巻く蛇を意味するギリシャ語の「Kuklws」から「サイクロン」の採用を提案した。しかし、1851年の第二版では、語源を「Kuklws」から回転に関するより広い意味を持つギリシャ語の語根「Kuklos」に変更している。これは、より広範な意味を持たせるための変更であったと推測されている。なお、世界気象機関(WMO)が定義するインド洋の嵐の正式名称は「サイクロニック・ストーム」である。
分類
サイクロンの強さや段階の分類は、観測を行う世界各地の気象機関によって異なる基準が用いられている。北西太平洋の日本気象庁(JMA)や世界気象機関(WMO)の基準のほか、アメリカのハリケーンセンター(NHC/CPHC/JTWC)やインド気象局(IMD)、オーストラリア気象局(BOM)など、地域ごとに独自の階級が設けられている。
記録的なサイクロン
歴史上、多くのサイクロンが甚大な被害をもたらしてきた。1970年に当時の東パキスタン(現バングラデシュ)を襲ったボーラ・サイクロンや、1991年のバングラデシュ・サイクロン、1999年のオリッサ・サイクロンなどが知られている。また、近年では2019年にアフリカ南部のモザンビークなどに大きな被害を出したイダイや、2025年に赤道域のマラッカ海峡で発生したセニャールなどが記録されている。