経済・行政

第三セクター(官民共同出資法人)の仕組みと現状

国や地方公共団体と民間企業が共同出資して設立する法人「第三セクター」の定義、日本国内での事業分野、経営課題や国際的な意味について解説します。

📌 主なポイント

  • 第三セクターは、国や地方公共団体(第一セクター)と民間企業(第二セクター)が共同出資して設立する法人形態である。
  • 日本の公文書で初めて「第三セクター」という用語が用いられたのは、1973年の「経済社会基本計画」である。
  • 総務省の調査(令和5年3月末時点)などにおいて、社団法人・財団法人、会社法法人、地方三公社などが第三セクター等として集計されている。

第三セクター(だいさんセクター)とは、第一セクター(国及び地方公共団体が経営する公企業)や第二セクター(私企業)とは異なる、第三の方式による法人である。略称は「三セク」。公共性・公益性が高い事業を営むための「半官半民」の中間的形態として知られている。

日本における定義と位置づけ

日本においては、政府または地方公共団体(第一セクター)が、民間企業(第二セクター)との共同出資により、独立した事業主体として公共性・公益性の高い事業を行うために設立する法人を指す。多くは株式会社や社団法人などの形態を採る。

法的な一義的定義は存在しないが、広義には「地方公共団体が出資又は出捐を行っている民法法人および商法法人」を指し、狭義では「地方公共団体等が25%以上の出資・出捐を行っている法人」を指す。また総務省の『地方公社総覧』や関連指針では、広義の第三セクターに地方三公社(地方住宅供給公社、地方道路公社、土地開発公社)を加えたものを「第三セクター等」と定義している。

公文書でこの用語が初めて用いられたのは、1973年(昭和48年)に第2次田中角栄内閣により閣議決定された「経済社会基本計画」である。1980年代後半以降、「民間活力の活用」を掲げた地域振興や都市開発の一環として日本各地に広く設立された。

主な事業分野

三セクター等が関わる事業分野は多岐にわたる。

  • 地域開発・都市開発:地域おこしや都市再開発等
  • 運輸:第三セクター鉄道、空港ビル会社、バス、道の駅等
  • 水道事業:公共上下水道の準コア業務の受託等
  • 観光・レジャー:温泉施設、リゾート施設、清掃工場余熱利用施設等
  • 農林水産・産業廃棄物処理・福祉など

経営課題と動向

1990年代後半から2000年代以降、バブル崩壊や景気低迷に伴い、債務超過に陥り経営破綻する事例が相次いだ。地方自治体が損失補償をおこなっているケースもあり、破綻時の債務が自治体の財政を圧迫する問題が表面化した。

政府は経営健全化を図るため「第三セクター等改革推進債」(三セク債)の活用を認めてきたが、自治体による抜本的改革や整理・清算が進まない法人も存在し、財政上の大きな課題となっている。

日本国外における意味

国際的な文脈や英語圏(特にイギリス)においては、第三セクター(Third sector)とはNPOや慈善団体、市民団体などの民間非営利団体を指す言葉として用いられる。第一セクターを「官」、第二セクターを営利企業である「私」とした場合、市民レベルの公共目的を担う「民」の領域を意味する。

よくある質問

第三セクターとはどのような組織ですか?
国や地方公共団体(第一セクター)と民間企業(第二セクター)が共同で出資し、公共性の高い事業を行う法人のことです。「半官半民」の中間的な存在と位置づけられています。
日本の公文書で初めて第三セクターという言葉が使われたのはいつですか?
1973年(昭和48年)に第2次田中角栄内閣が閣議決定した「経済社会基本計画」の中で初めて用いられました。
第三セクターにはどのような事業分野がありますか?
地域開発・都市開発、鉄道や空港ビルなどの運輸事業、水道事業の受託、観光・リゾート施設の運営など、幅広い分野で設立・運営されてきました。

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参考文献

総務省自治財政局公営企業課長 (2019年7月23日). “総財公第19号 第三セクター等の経営健全化方針の策定と取組状況の公表について”. 総務省. 読売新聞 (2014年2月10日). “経営不振3セクの2割、395法人が清算も困難”.