日本の法令

大規模地震対策特別措置法の概要と変遷

大規模地震対策特別措置法の概要と変遷
1978年に制定された大規模地震対策特別措置法(大震法)の仕組み、東海地震予知を前提とした防災体制、および近年の運用方針の変更について解説します。

📌 主なポイント

  • 大規模地震対策特別措置法は1978年に制定された。
  • 制定当初は東海地震の事前予知と警戒宣言の発令を前提とした防災体制を定めていた。
  • 2017年、予知を前提とした従来の運用から、南海トラフ地震に関連する情報へと方針が転換された。

大規模地震対策特別措置法(昭和53年法律第73号、通称:大震法)は、1978年(昭和53年)に制定された日本の法律です。地震災害の軽減を目的とし、特に東海地震の発生を事前に予知できる可能性があるという前提に基づき、警戒宣言の発令とそれに連動した予防的な防災対応を定めていました。

日本国政府国章
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防災体制の仕組み

本法に基づき、気象庁は「地震防災対策強化地域」周辺において、地震計やひずみ計を用いた常時監視体制を展開しました。観測データに異常が認められた場合、「地震防災対策強化地域判定会」が科学的な検討を行い、東海地震の発生につながる恐れがあると判断された場合には、気象庁長官から内閣総理大臣へ報告されます。これを受け、閣議を経て内閣総理大臣が「警戒宣言」を発令し、各種の応急対策が一斉に開始されるという仕組みが構築されていました。

計画と支援措置

法第3条に基づき指定された「地震防災対策強化地域」では、中央防災会議が地震防災基本計画を策定しました。これに呼応して、各省庁や自治体は地震防災強化計画を、病院、劇場、鉄道事業者などの特定の民間事業者は地震防災応急計画をそれぞれ作成することが義務付けられました。国はこれらの計画を支援するため、消防用施設や避難路の整備に対する補助金の引き上げや、感震装置等の導入に対する税制優遇措置を講じました。

運用方針の転換

制定当初の前提であった「東海地震の事前予知」については、その後の地震学の進展により、確度の高い予知は非常に困難であるという認識が広まりました。これを受け、2017年(平成29年)には防災体制の抜本的な見直しが行われました。同年10月31日をもって従来の「東海地震に関連する情報」の運用は終了し、11月1日からは対象エリアを南海トラフ全域に拡大した「南海トラフ地震に関連する情報」の運用が開始されました。これは予知を目的とするものではなく、科学的知見に基づき地震発生の可能性が相対的に高まった際に防災対応を促すための情報として位置付けられています。

よくある質問

大規模地震対策特別措置法は現在も有効ですか?
はい、法律自体は現行法ですが、その運用方針は大きく変更されています。2017年以降、東海地震の予知を前提とした警戒宣言の仕組みは運用を終了し、現在は南海トラフ地震に関連する情報を用いた防災対応に移行しています。
「警戒宣言」とは何ですか?
東海地震の発生が予知された場合に、内閣総理大臣が発令する宣言です。これに基づき、避難や交通規制などの応急対策が実施される仕組みでしたが、現在は運用されていません。

関連記事

地震予知南海トラフ巨大地震災害対策基本法気象庁中央防災会議

参考文献

  • 大規模地震対策特別措置法(e-Gov法令検索)
  • 最新地学事典(2024年、平凡社)
  • 防災白書 平成2年版(国土庁、1990年)
  • 平成30年版 防災白書(内閣府、2018年)
  • 南海トラフ地震について 過去の経緯(気象庁)