タイポグラフィ
ダッシュ (記号) の概要と組版における役割
欧文および和文組版におけるダッシュ記号の種類、歴史的背景、およびハイフンやマイナス記号との違いについて解説します。
📌 主なポイント
- ✓欧文組版のエンダッシュは「n」の幅、エムダッシュは「m」の幅に由来する。
- ✓ハイフンやマイナス記号は、字形および使用法においてダッシュとは明確に区別される。
- ✓和文組版では全角ダッシュが標準的であり、倍角ダッシュは2文字を並べて表現することが多い。
- ✓波ダッシュと全角チルダは、文字コードの仕様上、混同されやすい記号である。
ダッシュ(dash)は、文章中で句読点や区切りとして使用される約物の一種です。欧文組版と和文組版では、その定義や使用される字形、役割が大きく異なります。
欧文組版におけるダッシュ
欧文組版では、主にエンダッシュ(en dash)とエムダッシュ(em dash)の2種類が用いられます。これらの名称は、それぞれの幅が欧文フォントにおける「n」および「m」の幅に由来することにちなんでいます。
- エンダッシュ(en dash):Unicode U+2013。主に数値の範囲(例:1990–2000)や、対立する概念の接続などに使用されます。
- エムダッシュ(em dash):Unicode U+2014。文中で挿入句を囲んだり、思考の転換や中断を示すために使用されます。
これらはハイフン(-)やマイナス記号(−)とは字形および用途が明確に区別されます。ハイフンは単語の連結などに用いられ、ダッシュよりも短く、配置位置も異なります。ASCII環境ではこれらの文字が含まれていないため、ハイフンマイナスを組み合わせて代用されることが一般的です。
和文組版におけるダッシュ
和文組版においては、全角の幅を持つダッシュが標準的に用いられます。特に文章の区切りや省略を示すために、2倍の大きさを持つ「倍角ダッシュ」が使用されることがあります。コンピュータ環境では、全角ダッシュを2つ並べて「——」のように表現することで、この倍角ダッシュを再現するのが一般的です。
また、和文には「波ダッシュ」(〜、Unicode U+301C)が存在します。これは範囲を示す際などに用いられますが、コンピュータの文字コード変換の過程で、全角チルダ(~、Unicode U+FF5E)と混同・代用されることがあり、デジタル環境における表示上の課題として知られています。
よくある質問
エンダッシュとエムダッシュはどう使い分けますか?
エンダッシュは主に数値の範囲(1990–2000など)や対立関係の接続に、エムダッシュは文中の挿入句や思考の中断を示すために使用されます。
ハイフンとダッシュは何が違いますか?
ハイフンは単語の連結などに使われる短い記号であり、ダッシュとは長さや配置位置、使用される文脈が異なります。
波ダッシュと全角チルダは同じものですか?
本来は別物ですが、コンピュータの文字コード変換やフォント環境により、しばしば代用されたり混同されたりすることがあります。
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参考文献
JIS X 0213:2004「7ビット及び8ビットの2バイト情報交換用符号化文字集合」