物理学史

ドリール温度目盛の歴史と特徴

ドリール温度目盛の歴史と特徴
18世紀にフランスの天文学者ジョゼフ=ニコラ・ドリルが考案した温度目盛「ドリール度」について、その歴史的背景、構造、および他の温度単位との関係を解説します。

📌 主なポイント

  • ドリール度は、フランスの天文学者ジョゼフ=ニコラ・ドリルが1732年に考案した。
  • 水の沸点を0度とし、温度が下がるほど数値が大きくなる逆転した目盛構造を持つ。
  • 1738年にヨージアス・ヴァイトブレヒトが水の沸点を0度、凝固点を150度とする再構成を行った。
  • ロシアで約100年間にわたり使用された歴史を持つ。

ドリール度(記号: °De)は、18世紀にフランスの天文学者ジョゼフ=ニコラ・ドリル(1688–1768)によって考案された温度目盛です。ドリルはロシアのピョートル大帝に招かれ、サンクトペテルブルクで活動した人物であり、1732年に水銀を用いた温度計を開発しました。

構造と特徴

ドリール温度計の最大の特徴は、水の沸点を基準の0度とし、温度が下がるにつれて数値が増加する逆転した目盛構造を持っている点です。これは、当時の温度計の多くが採用していた手法であり、初期の摂氏目盛も同様に水の沸点を0度、凝固点を100度としていました。ドリルがこの目盛を採用した背景には、当時の測定技術や水銀の収縮特性を考慮した設計意図があったと考えられています。

1738年、ドイツの医学・解剖学教授ヨージアス・ヴァイトブレヒトは、この目盛を再構成し、水の沸点を0度、凝固点を150度とする標準化を行いました。この改良版のドリール温度計は、主にロシア国内で約100年間にわたり使用されました。

ドリール度と摂氏度の換算式
ドリール度と摂氏度の換算式
摂氏度とドリール度の換算式
摂氏度とドリール度の換算式

他の温度単位との換算

ドリール度は現在では一般的に使用されていませんが、他の温度単位との間には以下の数学的な関係が存在します。

単位ドリール度への換算
摂氏度 (°C)°De = (100 - °C) × 3/2
ファーレンハイト度 (°F)°De = (212 - °F) × 5/6
ケルビン (K)°De = (373.15 - K) × 3/2

よくある質問

ドリール度は現在でも使われていますか?
いいえ、現在では使用されていません。主に18世紀から19世紀にかけてロシアで使用されていた歴史的な温度目盛です。
なぜ水の沸点が0度なのですか?
当時の温度計の設計思想において、沸点を基準点(0度)とし、そこから温度が下がる方向へ目盛を刻む手法が一般的であったためです。

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温度の単位摂氏華氏ケルビンレオミュール度

参考文献

  • Delisle, J. N. (1738). Mémoires pour servir à l'histoire et aux progrès de l'Astronomie, de la Géographie et de la Physique.
  • Weitbrecht, J. (1738). Tentamen Theoriae Aerometriae.