工学・技術
伝送工学における情報の移動と通信技術の基礎
工学分野における伝送の定義や、電気通信・無線通信における各種変調方式、転送との違いについて解説する技術解説記事。
📌 主なポイント
- ✓伝送とは、形を変えて一箇所から別の場所に情報やデータを移動させる工学用語である。
- ✓形式を変えずに移動させる場合は転送と呼ばれる。
- ✓電気通信では、送信側で変調を行い、受信側で復調することで元の信号を再現する。
伝送(でんそう)とは、ある形態から別の形態へ形式を変えながら、一箇所から別の場所へ情報やデータを移動させる概念であり、主に工学や通信技術の分野において使用される用語である。英語では「トランスミット(transmit)」あるいは「トランスミッション(transmission)」と表現され、多くの場合で「転送」とは区別される。
伝送と転送の定義上の違い
工学的な文脈において、伝送とは情報やデータを一方の装置から別の装置へ移動させる際、信号の形式を変換して伝えることを指す。一般に二つの装置間は距離が離れており、例えば音声や画像、各種デジタルデータといった電圧値形式の信号を、無線の電波形式へと変換(変調)して移動させる。移動が完了した受信側では、再び元の形式へ戻す(復調)ことによって元の信号を再現する。
これに対し、形式をそのまま変えずにデータを移動させる場合は一般に「転送」と称される。また、電力の供給自体を目的とする送電などは伝送や転送とは区別され、荷物や郵便物の移動などにおいても転送という言葉が広く用いられている。
各種の伝送方式
通信および工学の分野では、媒体や信号処理の方法に応じて多様な伝送方式が存在している。
電気伝導体を利用した伝送
電気的な導体を介した伝送方式には、変調の有無や信号の性質によって以下のような分類がある。
- アナログ変調方式: AM(振幅変調)、FM(周波数変調)、PM(位相変調)、SSB(抑圧搬送波単側波帯)など。
- パルス変調方式: PWM(パルス幅変調)、PAM(パルス振幅変調)、PDM(パルス密度変調)、PPM(パルス位置変調)、PCM(パルス符号変調)など。
- 無変調連続波: CW(モールス信号などによる信号の長短有無やパルスを用いる方式)。
- デジタル変調方式: ASK(振幅偏移変調)、FSK(周波数偏移変調)、PSK(位相偏移変調)、QAM(直角位相振幅変調)、OOK(オンオフ変調)、MSK(最小偏移変調)など。
電気伝導体を利用しない伝送
電気的な導体を用いない伝送手段としても、自然界や物理現象を利用したさまざまな情報伝達の形態が存在する。
- 気体・液体・固体中における振動(音)を利用した情報の伝送。
- 空間における光を利用した伝送(手旗信号や発光信号など)。
よくある質問
伝送と転送の違いは何ですか?
伝送はデータを別の形式に変えながら移動させることを指し、転送は形式を変えずに移動させることを指します。
変調と復調とはどのような処理ですか?
変調は信号を遠距離伝送に適した形式に変換する処理であり、復調は伝送された信号を元の形式に戻す処理です。
関連記事
伝送工学転送データ転送
参考文献
日本語版ウィキペディア「伝送」(https://ja.wikipedia.org/wiki/伝送)