デザレット文字:19世紀の英語表記改革

📌 主なポイント
- ✓19世紀後半に末日聖徒イエス・キリスト教会によって英語の学習効率化を目的に開発された。
- ✓ブリガム・ヤングの指導のもと、ジョージ・D・ワットらが中心となって設計された。
- ✓最終的な文字数は38文字で、音声に基づいた表記体系を目指していた。
- ✓2001年のUnicode 3.1でデジタルコードが割り当てられ、現在はUnicodeでサポートされている。
デザレット文字(Deseret alphabet)は、19世紀後半にアメリカ合衆国の末日聖徒イエス・キリスト教会(LDS)によって開発された、英語を表記するための音素文字体系です。この文字は、当時の英語の正書法における「一字多音」という複雑さを解消し、特に英語を母語としない改宗者にとって学習を容易にすることを目的として考案されました。

歴史的背景
1852年4月8日、当時の教会指導者ブリガム・ヤングは、デザレット大学(現在のユタ大学)の理事会が新しい英語の正書法を開発中であることを発表しました。このプロジェクトには、ヤングの秘書であったジョージ・D・ワットが深く関与していました。ワットは、当時イギリスで普及していたアイザック・ピットマンの音声に基づいた正書法改革の理論を学んでおり、その知見がデザレット文字の設計に反映されました。
1854年には最初の文字表が印刷され、その後、教会の機関紙である『デザレット・ニュース』などで使用されるようになりました。オーソン・プラットによって専用の活字が鋳造され、1868年から1869年にかけては教科書や『モルモン書』の一部がこの文字で出版されました。しかし、プラットが計画していた大規模な出版事業は予算不足により頓挫し、1877年のブリガム・ヤングの死去とともに、この文字体系の実用的な歴史は終焉を迎えました。
文字体系の特徴

最終的な版におけるデザレット文字は38文字で構成されています。左から右へ記述されるこの体系は、音声に基づいた合理的な設計を目指していましたが、いくつかの課題も抱えていました。例えば、英語の曖昧母音(シュワ音)を表す専用の文字が欠けていたため、その表記には従来の正書法の影響が残りました。また、学習の容易さは評価されたものの、当時の話者間における発音の差異が綴りの不一致を招くという問題も発生しました。
現代におけるデジタル化
デザレット文字は、2001年にリリースされたUnicode 3.1において、追加多言語面のU+10400からU+1044Fの領域に割り当てられました。その後、2003年のバージョン4.0での拡張を経て、大文字と小文字を区別する計80文字が定義されています。これにより、現代のコンピュータ環境においてもデザレット文字の保存と表示が可能となりました。
よくある質問
デザレット文字はなぜ開発されたのですか?
デザレット文字は現在も使われていますか?
Unicodeでデザレット文字はどのように扱われていますか?
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参考文献
- Eleanor Knowles (1992). "Deseret Alphabet". In Daniel H. Ludlow. Encyclopedia of Mormonism. 1. Macmillan. pp. 373-374. ISBN 0028796004.
- Kenneth R. Beesley (2002-04-25). L2/02-169: Proposal to Modify the Encoding of Deseret Alphabet in Unicode.
- Unicode, Inc (2001-05-16). Unicode Standard Annex #27: Unicode 3.1.