経済学・国際関係

開発途上国の現状と国際的定義の変遷

開発途上国の現状と国際的定義の変遷
経済発展や工業化の途上にある開発途上国の定義や歴史的背景、国際機関における分類や近年の議論について解説します。

📌 主なポイント

  • 開発途上国とは、経済発展や工業力などの水準が先進国に比べて低く、成長過程にある国や地域を指す。
  • 日本では1950年代後半以降、「後進国」という呼称から「低開発国」、そして「開発途上国」へと表現が変化した。
  • 新興国から後発開発途上国まで、国や地域によって経済状況や直面する課題は大きく異なっている。

開発途上国(かいはつとじょうこく、英: developing country)とは、経済発展や工業力などの水準が先進国に比べて相対的に低く、経済成長の過程にある国や地域を指す言葉である。発展途上国、あるいは単に途上国とも称される。一般的には、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)が作成する援助受取国・地域リストの対象国などが該当する。

発展レベルによる各国の比較(6つの基準:HDI、WESP、WB、DAC、IMF、パリクラブ)
発展レベルによる各国の比較(6つの基準:HDI、WESP、WB、DAC、IMF、パリクラブ)

呼称の変遷と歴史的背景

1950年代以前は「後進国」や「未開発国」といった表現が用いられていた。しかし、1958年に成立した第2次岸内閣において、第7代経済企画庁長官を務めた世耕弘一が、官僚が作成した経済演説の草案にあった「後進国」という表現が相手国に対して見下す印象を与えるとして別の言葉に置き換えるよう指示し、「低開発国」へと修正された。その後、1980年代頃から「開発途上国」や「発展途上国」という呼称が一般化していった。

歴史的に見ると、第二次世界大戦直後の1950年代前半頃には、一部の西欧諸国や北欧諸国、北米を除いて多くの国家で国民所得の水準が低かった。戦後の混乱期を経て、アジア諸国などが独立を果たしたものの、当初は戦禍を免れた一部のアフリカ諸国の平均国民所得の方がアジア諸国を上回る場合もあった。その後、旧枢軸国の復興や1960年代以降のラテンアメリカ・東南アジア諸国での経済成長、さらに産油国によるオイルマネーの流入など、地域ごとに異なる経済発展の歩みが見られた。

多様性と内部格差

開発途上国と一括りに表現されるものの、その経済状況や抱える課題は国や地域によって多様である。近年の急速な経済成長を遂げて新興国や新興工業経済地域(NIEs)と呼ばれる国がある一方で、一次産品への依存度が極めて高く、紛争や災害の影響を受ける後発開発途上国(LDC)も存在する。また、人口の急増に対して十分な雇用が創出されず、失業者や不完全就労者の増加に直面している国も少なくない。

国際貿易における議論

世界貿易機関(WTO)の枠組みにおいては、発展途上国に対して様々な優遇措置が設けられている。しかし、購買力平価ベースの一人当たり国内総生産や対外投資額などの観点から、一部の経済大国や新興国が途上国の地位を維持して恩恵を受け続けることに対する批判や、制度改革を求める声も存在している。

よくある質問

開発途上国とはどのような国を指しますか?
経済発展や工業化の水準が先進国に比べて低く、経済成長の途上にある国や地域を指します。
「後進国」という呼び方から変わった経緯は何ですか?
1958年に日本の経済企画庁長官だった世耕弘一が、「後進国」という表現が相手を見下す印象を与えるとして別の語に置き換えるよう指示したことをきっかけに、呼称の変更が進められました。
開発途上国の中にはどのような違いがありますか?
急速な経済成長を遂げている新興国がある一方で、一次産品への依存や紛争の影響などに苦しむ後発開発途上国も存在し、国によって状況は多様です。

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参考文献

  • Country and Lending Groups - 世界銀行公式ホームページ
  • 国際環境経済研究所 「発展途上国」中国と「大国」中国