反磁性(物質の磁気的性質)のメカニズムと特性

📌 主なポイント
- ✓反磁性は外部磁場をかけた場合にのみ現れ、物質自体は自発磁化を持たない。
- ✓マイケル・ファラデーが1845年に「反磁性」という用語を提唱した。
- ✓すべての物質が本質的に反磁性を持っているが、多くの場合、常磁性や強磁性の効果によって隠されている。
- ✓超伝導体における完全反磁性はマイスナー効果として知られている。
反磁性(はんじせい、英: diamagnetism)とは、外部磁場をかけた際に物質が磁場の逆向きに磁化され、磁石に反発する方向に力が生じる物理的性質のことである。磁場が印加されている期間にのみこの特性が現れ、反磁性体は自発磁化を持たない。
歴史的背景
1778年、セバールド・ユスティヌス・ブルグマンスがビスマスやアンチモンが磁場に反発する現象を発見した。その後、1845年にマイケル・ファラデーがすべての物質が何らかの反磁性的な応答を示すと考え、「反磁性」という用語を提唱した。
1895年にはジョゼフ・ラーモアによって古典論に基づく説明がなされ、さらに1911年にニールス・ボーアによってボーア=ファン・リューエンの定理が証明されたことで、古典力学単体では熱平衡状態で磁性がゼロになることが示された。これにより、現代的な説明は量子力学へと引き継がれている。1933年にはヴァルター・マイスナーが超伝導状態における完全反磁性を発見した。
微視的機構と強さ
すべての物質は原子内部に電子を有しており、外部磁場を印加すると電子の運動に変化が生じ、外部磁場を打ち消す方向の磁化が誘起される。そのため、反磁性は原則としてすべての物質が備える普遍的な性質である。しかし、常磁性や強磁性を示す物質では、スピンや軌道角運動量に由来する強い磁性が支配的になるため、通常の環境では反磁性は表面化しにくい。
元素単体の中で最も強い反磁性を示すのはビスマスである。また、熱分解カーボンやグラファイトなども比較的強い反磁性を示すことが知られている。

主な現象と効果
磁気浮上
反磁性体に強力な磁場を下方から加えることで、反発力が重力と釣り合い、磁気浮上現象を引き起こすことが可能である。ネオジム磁石を用いた実験などでは、熱分解カーボンやビスマスなどが室温で浮上する様子が観察される。


モーゼ効果
水も弱い反磁性体の一つであり、容器の中心に強力な磁石を配置すると、水が左右へ押し分けられる現象が確認される。この現象は1993年に報告され、旧約聖書の伝承にちなんでモーゼ効果と呼ばれている。

超伝導体の完全反磁性
超伝導状態にある物質は例外的に強い反磁性を示し、物質内部へ磁束が侵入しない。この性質は完全反磁性(マイスナー効果)と呼ばれ、強力な磁石の上で安定した磁気浮上を実現する要因となる。
よくある質問
反磁性と強磁性の違いは何ですか?
すべての物質が反磁性を持ちますか?
最も強い反磁性を持つ元素は何ですか?
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参考文献
- S. Ueno and M. Iwasaka, J. Appl. Phys. 74 (1994) 7177.
- 廣田 憲之, 日本物理学会講演概要集 50 (3) 192.
- Nave, Carl L., "Magnetic Properties of Solids", HyperPhysics.