消化器病学・感染症学

下痢の症状・原因と医学的管理

下痢の症状・原因と医学的管理
下痢の定義、分類、原因(感染症、吸収不良など)、病態、および経口補水療法をはじめとする管理・治療について解説する医学記事です。

📌 主なポイント

  • 下痢は、発症から2週間以内の「急性下痢」、2〜4週間の「持続性下痢」、4週間以上の「慢性下痢」に分類される。
  • 5歳以下の小児における下痢の大きな原因の一つとしてロタウイルスが挙げられる。
  • 下痢に伴う重度の脱水は、電解質異常やアシドーシス、循環不全を引き起こす可能性がある。

下痢(げり、英: diarrhea)は、通常の便と比較して非常に緩いゲル状または液体状の便が排泄される状態を指す。消化管における水分やミネラルの吸収機能低下や分泌異常などにより引き起こされ、多くの場合で排便回数の増加を伴う。

定義と分類

下痢は、発症からの継続期間によって以下のように分類される。

  • 急性下痢:発症から2週間以内のもの。ウイルス性などの感染症によるケースが多く、多くは自然に軽快する。
  • 持続性下痢:2週間から4週間にわたるもの。
  • 慢性下痢:4週間以上継続するもの。

また、便の性状評価にはブリストル・スケールが用いられ、特に泥状便(スコア6)や水様便(スコア7)が下痢の代表的な状態とされる。

原因

下痢を引き起こす要因は多岐にわたり、大きく内因性と外因性に分けられる。

感染症

細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体が腸管に感染することで生じる。成人ではノロウイルスが一般的であり、5歳以下の小児ではロタウイルスが主要な原因の一つとして知られている。その他、コレラ菌や赤痢菌、病原性大腸菌などが重篤な感染性下痢を引き起こす。

その他の要因

感染症以外にも、乳糖不耐症などの吸収不良、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、過敏性腸症候群(IBS)などの機能性疾患、あるいは薬剤の副作用や暴飲暴食、ストレスなどが原因となる。

病態

激しい下痢や水様便が続くと、体内の水分や電解質が失われ、細胞外液の脱水や電解質代謝異常を来す。さらに、便が通常アルカリ性であるため、体液が酸性に傾くアシドーシスを引き起こす場合がある。重度の脱水は循環血流量の減少を招き、多臓器不全やショック状態に至るリスクもある。

管理と治療

下痢に対する基本的な医学的管理としては、失われた水分と電解質を補うための補水が最優先される。軽度から中等度の脱水に対しては、小腸での水分吸収効率を考慮した経口補水液の摂取が有効である。原因が感染性胃腸炎や食中毒の場合、病原体の排出を妨げないよう対症療法が慎重に行われる。

よくある質問

下痢の期間による分類はどうなっていますか?
発症から2週間以内を急性下痢、2週間から4週間以下を持続性下痢、4週間以上続くものを慢性下痢と分類します。
感染性下痢の主な原因ウイルスは何ですか?
成人ではノロウイルスが一般的であり、5歳以下の小児ではロタウイルスが頻度の高い原因ウイルスとして知られています。
下痢の際に最も注意すべき合併症は何ですか?
水分や電解質が失われることによる脱水症状、およびそれに伴う電解質代謝異常やアシドーシスに注意が必要です。

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参考文献

世界保健機関 (WHO) 関連資料、厚生労働省検疫所ファクトシート、日本内科学会雑誌等の医学的知見に基づく。