植物学
双子葉植物:かつての分類群とその変遷

双子葉植物の定義、歴史的な分類体系、および現代の植物分類学における位置付けについて解説します。
📌 主なポイント
- ✓双子葉植物は、発芽時に2枚の子葉を持つ被子植物のグループを指す歴史的な名称である。
- ✓分子系統解析の結果、従来の双子葉植物は単系統群ではなく、側系統群であることが判明している。
- ✓現代のAPG体系では、真正双子葉類(Eudicots)と、それ以外の原始的な被子植物群に分けて整理される。
双子葉植物(そうしようしょくぶつ)は、種子植物の被子植物において、発芽時に2枚の子葉を持つグループを指す名称です。かつての植物分類学では、子葉が1枚である単子葉植物と対比される主要な分類群として扱われてきました。

分類学における歴史的背景
伝統的な分類体系である新エングラー体系やクロンキスト体系において、双子葉植物は「双子葉植物綱(Dicotyledoneae または Magnoliopsida)」として定義されていました。このグループは、葉脈が網状であることや、維管束が環状に配置されるといった特徴を共有すると考えられてきました。
しかし、1990年代以降の分子系統解析の進展により、従来の双子葉植物は単系統群(共通の祖先から進化したすべての種を含むグループ)ではなく、側系統群であることが判明しました。つまり、単子葉植物の祖先もまた、かつての「双子葉植物」のグループ内に含まれていることが明らかになったのです。
現代の分類体系(APG体系)
現代の主流であるAPG植物分類体系では、従来の双子葉植物は再編されています。被子植物全体は、以下のグループに整理されます。
- 真正双子葉類(Eudicots):単系統群であり、三溝型花粉を持つという共通の派生形質で定義されます。
- 原始的な双子葉植物群:真正双子葉類には含まれない、より初期に分岐した被子植物のグループです(アンボレラ目、スイレン目、モクレン類など)。
したがって、現在の分類学において「双子葉植物」という名称は、単一の分類階級を示すものではなく、歴史的な経緯を持つ便宜的な呼称として理解されています。
よくある質問
双子葉植物と単子葉植物の主な違いは何ですか?
最も基本的な違いは発芽時の子葉の数ですが、現代の分類学では子葉の数だけでなく、花粉の形状や遺伝子解析に基づく系統関係によって分類されます。
なぜ現在では双子葉植物という分類群が使われないのですか?
分子系統解析により、従来の双子葉植物のグループには単子葉植物の祖先が含まれていることが分かり、単系統群として成立しない(側系統群である)ことが明らかになったためです。
真正双子葉類とは何ですか?
APG体系において定義される単系統群で、三溝型花粉を持つという特徴を共有するグループです。
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被子植物単子葉植物APG植物分類体系クロンキスト体系植物の進化
参考文献
- APG (Angiosperm Phylogeny Group) 各版の分類体系資料
- クロンキスト体系による被子植物分類学の文献