情報技術

デジタルオブジェクト識別子 (DOI)

デジタルオブジェクト識別子(DOI)は、インターネット上の学術論文や著作物に恒久的なリンクを提供するための識別システムです。その仕組みと役割を解説します。

📌 主なポイント

  • DOIはインターネット上のデジタルコンテンツに恒久的な識別子を付与するシステムである。
  • URLの変更に左右されず、常に正しいコンテンツへユーザーを誘導できる。
  • 学術論文の引用において、論文単位や図表単位で細かく識別できるため広く利用されている。
  • 国際DOI財団(International DOI Foundation)によって運営されている。

デジタルオブジェクト識別子(Digital Object Identifier、略称:DOI)は、インターネット上で公開されている学術論文、書籍、データセットなどのデジタルコンテンツに対して、恒久的に付与される識別子である。

概要と目的

ウェブ上のリソースは、サーバーの移転やドメインの変更によってURLが変化し、リンク切れが発生することがある。DOIは、コンテンツの場所(URL)ではなく、コンテンツそのものに固有の識別子を割り当てることで、この問題を解決する。ユーザーがDOIを介してアクセスすると、DOIディレクトリが現在の正しいURLへリダイレクトを行うため、コンテンツの所有者がサーバーを変更しても、DOI自体は変わらずに利用し続けることが可能である。

仕組み

DOIは、ディレクトリ識別子と、コンテンツ所有者が付与する固有IDの組み合わせで構成される。例えば「10.1021/jo0349227」というDOIにおいて、「10.1021」はディレクトリ(この場合はアメリカ化学会)を示し、スラッシュ以下の文字列は特定の論文や図表を指すIDである。

ユーザーがブラウザでアクセスする際は、識別子の前に「https://doi.org/」を付加して利用する。システムは以下のプロセスで動作する。

  1. ユーザーがDOIを入力する。
  2. DOIディレクトリが、その識別子に対応する現在のURLを特定する。
  3. ユーザーのブラウザが、特定されたURLへ自動的に転送される。

学術分野における利用

DOIは、学術論文の引用や参照において標準的な手法として定着している。NatureやScienceなどの主要な学術雑誌、ACMやIEEEなどの学会が発行する論文誌において広く採用されている。ISBNやISSNが書籍や雑誌のタイトル単位で付与されるのに対し、DOIは論文単位、あるいは図表やページ単位といった細分化されたレベルで付与できる点が特徴である。

運営体制

DOIシステムは、アメリカ出版協会(AAP)とCNRI(Corporation for National Research Initiatives)によって設立された。現在は国際DOI財団(The International DOI Foundation)が運営を統括しており、CrossRefやDataCite、ジャパンリンクセンター(JaLC)などの登録機関を通じて識別子の発行と管理が行われている。

よくある質問

DOIはURLと何が違うのですか?
URLはウェブ上の場所を示すため、サーバー移転などでリンク切れを起こす可能性があります。一方、DOIはコンテンツそのものに付与される識別子であり、場所が変わってもDOIディレクトリを介して常に最新のURLへアクセスできるよう維持されます。
DOIは誰が管理していますか?
国際DOI財団(The International DOI Foundation)が運営を統括し、CrossRefやDataCiteなどの各登録機関が実際の識別子発行業務を行っています。
DOIはどのように検索すればよいですか?
ブラウザのアドレスバーに「https://doi.org/」を入力し、その後に続けてDOI文字列を入力することで、該当するコンテンツのページへアクセスできます。

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参考文献

  • 長谷川豊祐「DOI(デジタルオブジェクト識別子)システムの概要」『情報の科学と技術』第49巻第1号、情報科学技術協会、1999年、28-33頁。
  • International DOI Foundation. "DOI® Handbook".