ドングリを活用した森林緑化システムとどんぐり銀行の概要
📌 主なポイント
- ✓どんぐり銀行は1992年に香川県で当時の香川県西部林業事務所長によって発案された。
- ✓松食い虫の被害や開発による森林荒廃が香川県での誕生背景にある。
- ✓利用者が集めたドングリを預け、翌年などに苗木として受け取って植樹する仕組みである。
- ✓1995年の神戸(阪神・淡路大震災の復興)や1996年の高知県大川村などに活動が広がった。
どんぐり銀行とは、ドングリを産出する樹木を増やす目的で、銀行の仕組みを模して利用者がドングリを集め、翌年以降に苗木として受け取って植樹する、子供らが参加しやすい緑化運動の仕組みである。
歴史と発祥の背景
どんぐり銀行は、1992年に香川県西部林業事務所長の松下芳樹によって発案された。当時の香川県では、里山の主たる植生であったマツ林に対して1975年頃から松食い虫(マツ材線虫病)が蔓延し、マツの枯死が問題となっていた。さらに、その跡地が採土場や採石場として開発されたり、産業廃棄物が不法不法投棄されるなどして森林の荒廃が進んだことから、人々が森林保全に関心を持つきっかけづくりとしてこの運動が企画された。
発案者の松下は、「子どもたちに楽しみながら森の大切さを伝えること」や「自然との触れ合いを通じて森を守る大人に育つこと」を目的としていた。
仕組みと運用方法
どんぐり銀行を主催するのは行政機関や民間団体であり、参加者である“預金者”の子供たちがドングリを採集して持ち込む。受け入れに際しては、水に沈む健全なドングリのみを対象とすることや、拾った場所の届出が求められる場合がある。また、遠隔地からのドングリについては遺伝子汚染を防ぐため、地元での緑化に用いないよう配慮されることもある。
集められたドングリの一部は発芽させて苗木に育てられ、自宅の庭やベランダ、あるいは山火事の跡地や砕石跡地の緑化、産業廃棄物埋立地の植栽などに用いられる。苗木に育てられなかったドングリは、工作の材料や、養豚業の飼料として活用され、そこから得られた糞が肥料として利用されることもある。
各地への広がり
香川県での誕生以降、本州や四国の他の地域にも活動が拡大した。1995年には神戸市で、阪神・淡路大震災の復興に伴い多くの樹木が切り倒されたことを受けて活動が開始された。1996年には高知県大川村などでも導入された。また、スタジオジブリのキャラクターグッズを取り扱うベネリックが賛同し、「どんぐり共和国」の店舗に“銀行出張所”が設けられるなど、民間企業の協力による広がりも見せている。