天文学

地球のトロヤ群小惑星

地球のトロヤ群小惑星
地球の公転軌道を共有し、ラグランジュ点L4およびL5近傍に存在する小惑星「地球のトロヤ群」について、その定義、発見の歴史、および探査状況を解説します。

📌 主なポイント

  • 地球のトロヤ群は、地球と太陽のラグランジュ点L4およびL5近傍に存在する小惑星である。
  • 2010 TK7は、2011年に確認された最初の地球のトロヤ群小惑星である。
  • 2020 XL5は、2022年に確認された2番目の地球のトロヤ群小惑星である。
  • 太陽光の影響により、地上からの光学観測が非常に困難である。

地球のトロヤ群(Earth trojan)は、太陽に対する地球の公転軌道を共有し、地球と太陽のラグランジュ点であるL4(前方60度)またはL5(後方60度)の近傍に存在する小惑星のグループです。木星のラグランジュ点に位置する「木星のトロヤ群」にちなんで命名されました。地球から観測すると、太陽から平均して60度東または西の空に位置しているように見えます。

ラグランジュ点の概念図
ラグランジュ点の概念図
地球のトロヤ群の軌道アニメーション
地球のトロヤ群の軌道アニメーション

確認されている小惑星

地球のトロヤ群小惑星の発見は、観測の難しさから長らく困難とされてきました。2011年、アサバスカ大学のマーティン・コナーズらが広域赤外線探査衛星(WISE)のデータを用いて、地球のL4点付近に直径約400メートルの小惑星2010 TK7を発見しました。これが地球のトロヤ群として確認された最初の天体です。

2010 TK7の観測画像
2010 TK7(画像右下の緑色の円内)

その後、2022年には(614689) 2020 XL5が2番目の地球のトロヤ群小惑星として確認されました。これらはいずれも地球のL4点付近に位置しています。

探査と観測の試み

地球のトロヤ群小惑星は、太陽光の強い領域に位置するため、地上からの光学観測には大きな制約が伴います。そのため、宇宙探査機を用いた直接的な観測が試みられてきました。NASAの探査機オサイリス・レックスは、小惑星ベンヌへの航行中にL4点付近の観測を行いましたが、新たなトロヤ群小惑星の発見には至りませんでした。また、JAXAの探査機はやぶさ2も、リュウグウへの航行中にL5点付近の観測を実施しましたが、同様に新たな天体の発見には至っていません。

関連する軌道

地球の伴星としては、トロヤ群以外にも「馬蹄形軌道」と呼ばれる共鳴軌道を持つ天体が存在します。代表的な例として小惑星クルースンが挙げられます。これらの天体は1:1の共鳴軌道上にありますが、ラグランジュ点L4やL5付近で秤動(ひょうどう)していないため、トロヤ群には分類されません。

よくある質問

地球のトロヤ群とは何ですか?
地球の公転軌道を共有し、地球と太陽のラグランジュ点L4またはL5の近傍に存在する小惑星のグループです。
現在までに何個の地球のトロヤ群小惑星が確認されていますか?
2022年時点で、2010 TK7と(614689) 2020 XL5の2個が確認されています。
なぜ地球のトロヤ群の観測は難しいのですか?
地球から見て太陽に近い位置(ラグランジュ点L4/L5)に存在するため、太陽光の眩しさによって地上からの光学観測が困難だからです。

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ラグランジュ点小惑星クルースン準衛星はやぶさ2

参考文献

  • Connors, M., et al. (2011). "Earth's Trojan asteroid". Nature.
  • Santana-Ros, T., et al. (2022). "Orbital stability analysis and photometric characterization of the second Earth Trojan asteroid 2020 XL5". Nature Communications.
  • NASA. "OSIRIS-REx Asteroid Search Tests Instruments, Science Team".
  • JAXA. "太陽−地球系のL5点付近の観測について".