経済学
経済恐慌の構造と歴史的展開
経済学における恐慌の定義や、マルクス経済学における過剰生産・過剰資本の論理、過去に発生した主な恐慌の歴史について解説します。
📌 主なポイント
- ✓恐慌は好況局面から突如発生する深刻な景気後退である。
- ✓マルクス経済学では、恐慌の究極の根拠を生産と消費の矛盾による過剰生産ととらえる。
- ✓歴史上、19世紀から20世紀にかけて世界各地で様々な規模の恐慌が発生している。
恐慌(きょうこう、英語: crisis、ドイツ語: Wirtschaftskrise)とは、景気循環の過程において、好況局面から突如として発生する深刻な景気後退を指す経済学の重要研究分野の一つである。
経済学における捉え方の変遷
19世紀には恐慌が頻繁に発生し、20世紀前半には世界恐慌が起きた。しかし20世紀後半以降は、マクロ経済学の研究蓄積や財政・金融政策の運用により、深刻な恐慌は回避できると考えられてきた。もっとも、サブプライム住宅ローン危機に端を発する世界金融危機以降は、大規模な景気後退を世界恐慌と呼ぶことが再び増え、深刻な経済危機が現代においても起こりうるという認識が定着している。
マルクス経済学の恐慌論
カール・マルクスは、信用制度の崩壊や企業・銀行の倒産、失業者の増大といった諸現象の根本に過剰生産をとらえた。恐慌の本質は、資本主義に内在する基本的矛盾から生じる諸矛盾の爆発であり、この爆発を通じて強制的な内的統一性が回復される局面であるとされる。
生産と消費の矛盾
資本主義の基本的矛盾とは、生産と消費の矛盾である。資本家は利潤追求や競争による蓄積の強制によって生産力を無制限に発展させようとする一方、賃金労働者の賃金は生活必需品の範囲に制限されがちである。この無制限な生産力の発展と労賃による消費制限との乖離が、過剰生産傾向を生み出す根拠となる。
過剰資本の価値破壊
恐慌局面では、企業倒産や株価下落、デフレーションなどを通じて過剰資本の価値が破壊され、社会的総資本の量が縮小する。利潤率が低下して資本として運動できなくなった過剰資本が破壊されることで、消費と生産の均衡が取り戻され、資本による生産の再活性化が準備される。
過去の主な恐慌
歴史上、数々の深刻な経済的混乱が記録されている。
- 19世紀:1837年恐慌、1857年恐慌、1873年恐慌、1893年恐慌など
- 20世紀:1901年恐慌、1907年恐慌、世界恐慌、昭和恐慌など
よくある質問
経済学における「恐慌」とは何ですか?
景気循環の過程において、好況局面から突如として発生する深刻な景気後退のことを指します。
マルクス経済学では恐慌の原因をどのように説明していますか?
無制限な生産力の発展と、労賃によって制限された大衆の消費力との間にある矛盾(過剰生産傾向)が究極の根拠であると説明されています。
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参考文献
スティーヴン・ランズバーグ『ランチタイムの経済学-日常生活の謎をやさしく解き明かす』日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2004年。