植物学
植物の枝変わり現象と園芸品種への利用

植物の成長点の突然変異によって生じる枝変わりのメカニズム、野生・園芸植物における特徴、温州みかんやカキなどの具体的な果樹の品種事例について解説します。
📌 主なポイント
- ✓枝変わりとは、植物の成長点における突然変異により、特定の一部が異なる遺伝形質を示す現象である。
- ✓植物は成長点から組織が作られるため、変異した部位を挿し木などで増やすことで新しい品種として固定できる場合がある。
- ✓温州みかんやカキなどの果樹において、枝変わりを利用した新品種の発見や系統選抜が数多く行われている。
枝変わり(えだがわり、bud sport)とは、植物の特定の枝において、成長点の突然変異などにより、その個体が本来持っている遺伝形質とは異なる形質(新芽、葉、花、果実など)が現れる現象を指します。

メカニズムと植物特有の特徴
動物の場合、体細胞で起きた突然変異が次代や新しい個体の全身の形質として反映されることは極めてまれです。しかし植物では、頂端などの成長点から細胞分裂を繰り返して組織が形成されていくため、変異が生じた部分がそのまま一つの枝として伸長し、形態的な変化として固定される可能性があります。
野生植物に枝変わりが発生した場合は変異株として注目され、その枝を挿し木や接ぎ木などで栄養繁殖させることによって新しい品種として固定できる場合があります。園芸の分野では、斑入り葉が無地になってしまうなど親株の形質よりも劣った状態になることも少なくありませんが、まれに優れた形質を持つ個体が出現するため、新品種の選抜において重要な現象となっています。
果樹における枝変わりの利用
果樹の栽培においては、優れた形質を持つ枝を系統選抜や新品種の発見に活用してきました。特にカンキツ類やカキなどで多くの登録品種が枝変わりによって見出されています。
温州ミカンの事例
温州みかんでは、従来の品種から枝変わりによって早生品種や甘味などの特性が異なる系統が多く見つかっています。
- 宮川早生を元の品種とするもの:宮本早生、上野早生、盛田温州、させぼ温州、小原紅早生など
- 興津早生を元の品種とするもの:日南一号、岩崎早生、田口早生など
- 青島温州を元の品種とするもの:寿太郎温州など
カキの事例
カキにおいても枝変わりによる品種の発見が記録されています。例えば、奈良北部地域などで栽培される平核無柿からは、枝変わりによって刀根早生などの品種が見出されています。
よくある質問
枝変わりとはどのような現象ですか?
植物の特定の枝において、成長点の突然変異などにより、新芽や葉、花、果実などが本来の遺伝形質とは異なる形で現れる現象です。
動物と植物で体細胞の突然変異の現れ方に違いはありますか?
動物では体細胞の突然変異が新たな個体の形質として反映されることはほぼありませんが、植物は成長点から体が作られるため変異が形質として固定される可能性があります。
果樹の栽培ではどのように活用されていますか?
温州みかんやカキなどの果樹において、優れた形質を持つ枝を選抜し、新しい品種の発見や系統選抜に利用されています。
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参考文献
- 近畿農政局ウェブサイト 「かき(奈良北部地域)」 2015年12月25日閲覧。