電力の基礎概念とエネルギーシステム

📌 主なポイント
- ✓電力の国際単位系(SI)における単位はワット(W)である。
- ✓電力を時間ごとに積算したものは電力量と呼ばれる。
- ✓日本国内では、揚水発電がおよそ26GWの設備容量を持つ。
- ✓世界全体の電力消費量は、経済発展や需要の増加に伴い増加している。
電力(でんりょく、英: electric power)とは、物理学の定義において単位時間に電流がする仕事(量)のことである。国際単位系(SI)においてはワット(W)が単位として用いられ、物理学概念の分類体系では仕事率に分類される。
定義と特性
電圧Vの電源から電流Iが流れているとき、電力はVとIの積として表される。専門用語としての電力は単位時間あたりの仕事率を指すが、一般用語としては電気の形で伝えられるエネルギー全般を指して使われることも多い。電力を時間ごとに積算したものは電力量と呼ばれ、電力とは明確に区別される。
電力は、電池(化学エネルギー)、発電機(運動エネルギー)、太陽電池(光エネルギー)などの多様なエネルギー源から変換される。発電された電力は、送電網を介して遠隔地の負荷へ即座に送り届けられ、光、運動、熱、化学エネルギーなどへ容易に変換できる特性を持つ。
電力の貯蔵(蓄電)技術
再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、発電量の変動や需要の差を補う蓄電システムの活用と増強が重視されている。主な蓄電手法には以下のようなものがある。
- 二次電池による蓄電: リチウムイオン二次電池やナトリウム・硫黄電池(NAS電池)などが、家庭用から送配電会社の変電所や発電所に併設される大規模設備まで実用化されている。
- 揚水蓄電: 水の位置エネルギーとして電力を保存する方法であり、急激な需要増加に対応可能な大規模蓄電装置として活用されている。
- 水素による蓄電: 水の電気分解によって水素を生成し、必要に応じて燃料電池で再び電力に変換するシステムである。
- 蓄熱システム: 電力をあらかじめ熱エネルギーに変換して蓄える方法であり、フィンランドの「砂電池」や日本国内の氷蓄熱空調装置などが実用化されている。
電力の消費動向
世界全体の電力消費量は増加傾向にあり、国別では中華人民共和国やアメリカ合衆国などが上位を占めている。一方、国民一人あたりの電力消費量では、豊富な水資源や地熱資源を持つアイスランドやノルウェーなどが上位に位置している。
日本国内の家庭における電力消費の主な内訳としては、電気冷蔵庫や照明器具、テレビ、エアコンなどが挙げられ、季節や時間帯によって大きく変動する。また、デマンド料金制などを背景に、最大需要電力を監視して抑制するエネルギー管理システムやネガワット取引の活用も進められている。
歴史
初期の電力装置としては静電発電機が存在したが、19世紀中頃から電池が利用され、1870年頃から直流発電機、1880年頃から交流発電機が実用化された。トーマス・エジソンが設立した会社による直流送電と、ニコラ・テスラやジョージ・ウェスティングハウスが推し進めた交流送電との間の対立(電流戦争)を経て、現代の電力系統では交流送電が広く普及している。