地理学・測地学

地理学および測量における標高の概念と基準

地理学および測量における標高の概念と基準
地理学や測量における標高の定義、ジオイドを基準とした高度の仕組み、日本における東京湾平均海面(T.P.)の基準について詳しく解説します。

📌 主なポイント

  • 標高とは、一般的にジオイドから鉛直方向に測った高さを指す。
  • 日本では、東京湾平均海面(T.P.)を基準として標高が定められている。
  • 標高は地球の中心からの距離ではなく、地球が扁球であるため地心距離とは一致しない。

標高(ひょうこう、Elevation)とは、一般的にジオイドから鉛直方向に測った高さを指す用語です。地球の表面上の地点の高さを示す際に主に用いられ、平均海水面を0メートルとしていることから海抜高度とも呼ばれますが、地理ポテンシャルとしての高さは航空機や宇宙船などの空中・宇宙空間のポイント、あるいは地下や海底の深さなどの表面下のポイントに対しても適用されます。

標高は地球の中心からの距離そのものではありません。地球が赤道方向に膨らんだ扁球であるため、エベレスト山が最大標高を示す一方で、地球の中心からの地心距離が最大となるのはチンボラソ山頂であるなど、地心距離と標高の間には違いが存在します。

垂直距離の比較を示す図
垂直距離の比較

日本の標高基準と測地学的背景

日本国内の地図上に等高線などで示される高さは、東京湾の平均海面がジオイドに一致すると仮定し、その東京湾平均海面からの高さを基準としています。この基準となる東京湾平均海面は、T.P.(Tokyo Peil)と称されています。

また、ジオイドからの高さである標高に対し、準拠楕円体面から測った高さを楕円体高と呼びます。準拠楕円体面からジオイドまでの高さはジオイド高と呼ばれます。ジオイド面上の垂直線(重力の方向)と楕円体面上の法線は必ずしも方向が一致せず、その生じるずれの角度を鉛直線偏差と呼びます。一般に鉛直線偏差はごく微少であるため、高さ、楕円体高、ジオイド高の関係は相互に近似して扱われます。

地球の表面の高度を示すヒストグラム
地球の表面の高度ヒストグラム。そのうち約71.1%が水で覆われている。

地図作成と地理情報システム(GIS)における標高表現

地理情報システム(GIS)は、関連する属性を持つデータの視覚化、操作、保存を可能にするコンピューターシステムです。GISを用いることで、様々な縮尺におけるランドスケープパターンや空間的な関係を詳細に分析することができます。

地形図では従来より等高線を使用して標高が表現されてきましたが、現代のGIS環境ではデジタル標高モデル(DEM)を用いたラスター(グリッド)データセットにより、地表面の起伏が表現されます。

ハレアカラの地形図の一部
標高を示すハレアカラ(ハワイ)の地形図の一部。

米国地質調査所(USGS)などの機関では、高品質な地形データに対応するため、3D標高プログラム(3DEP)などを開発し、LiDARデータ形式による強化された標高データの整備が行われています。また、日本においても国土地理院が提供する地理院地図を通じて、航空レーザー測量などに基づいた任意位置の標高を確認することが可能です。

NASAによるSRTM標高上のLandsat画像
NASAによるSRTM標高の上のLandsat画像。前景にケープ半島と喜望峰、南アフリカを示している。

グローバルな規模では、GTOPO30のように30秒角の間隔(約1km)で地球の地形標高を記述するデータマップも存在し、等高線の代わりに色や陰影を用いて各地の高さや起伏が表現されてきました。

ハイトマップによる地球表面の表現
8ビットグレースケールとして正規化された正距円筒図法での地球の表面のハイトマップ。明るい値は高い標高を示している。
南カリフォルニアのサンバーナーディーノ山脈
8,000フィート (2,438 m) 南カリフォルニアのサンバーナーディーノ山脈(2009)
処理されたLiDARポイントクラウド
処理されたLiDARポイントクラウドは、標高だけでなくフィーチャの高さも示している

よくある質問

標高と海抜高度の違いは何ですか?
用語としてほぼ同義として使われ、平均海水面を0メートルとしている点も同じですが、標高は厳密にはジオイドからの高さを指します。
日本の標高の基準は何ですか?
日本国内の標高は、東京湾平均海面を基準(T.P.:Tokyo Peil)として算出されています。
標高と楕円体高はどう違いますか?
標高がジオイド面を基準とするのに対し、楕円体高は測地学的な準拠楕円体面から測った高さを指します。

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参考文献

国土地理院 著「地学部 地理―世界各緯度帯の海陸の面積とその比」、国立天文台 編『理科年表 2025』丸善出版、2024年11月30日、599頁。