エリート(社会階層)の定義と理論
📌 主なポイント
- ✓エリートの語源はラテン語の「eligere(選ぶ)」であり、「選ばれた者」を意味する。
- ✓C・ライト・ミルズは、政治・経済・軍事の各分野で権力を独占する層を「権力エリート」と定義した。
- ✓ロベルト・ミヒェルスは、組織が巨大化すると指導層による支配が不可避となる「寡頭制の鉄則」を提唱した。
エリート(英: elite、仏: élite)とは、社会や特定の集団において、指導的あるいは支配的な役割を担う少数者の層を指します。語源はラテン語の「eligere(選ぶ、選出する)」に由来し、「選ばれた者」を意味します。社会学や政治学の文脈では、単に優秀な個人を指すだけでなく、社会資源や意思決定権を独占する構造的な存在として捉えられます。
エリート論の展開
政治学における古典的なエリート論は、大衆社会における少数支配の不可避性を実証的に論じてきました。ガエターノ・モスカやロベルト・ミヒェルスらは、組織が巨大化する過程で寡頭制的な支配構造が必然的に生まれることを指摘しました。特にミヒェルスは、政党や労働組合においても指導層が権力を独占する「寡頭制の鉄則」を提唱しました。
ヴィルフレド・パレートは、エリートと非エリートの間で人的な交代が絶えず行われるという「エリートの周流」理論を唱えました。パレートは、権謀術数に長けた「キツネ型」と、暴力的な権力志向を持つ「ライオン型」が権力を巡って交代し続けることで、社会システムの均衡が保たれると分析しました。
権力エリートの類型
C・ライト・ミルズは、その著書『パワー・エリート』の中で、国家の政策決定に影響を及ぼす少数集団を「権力エリート」と定義しました。彼はエリートを以下の3つの領域に分類しています。
- 政治エリート:政府や行政機関において政策決定を主導する層。
- 経済エリート:大企業や金融機関の経営層。専門知識と組織的地位に基づき、資本家階級とは異なる新たな階級を形成します。
- 軍事エリート:軍令機関や軍事行政において意思決定を担う高級将校や官僚。
これらの層は、それぞれの領域で権限を独占しながらも、相互に利益を共有する共同体として機能していると指摘されています。
教育とエリート養成
歴史的に、エリート層を育成するための選抜的な教育システムが各国で構築されてきました。フランスのグランゼコール、イギリスのオックスブリッジやパブリック・スクール、アメリカのアイビー・リーグなどは、特定の社会的地位を継承または獲得するための基盤として機能しています。これらの機関は、高度な専門知識や指導者としての資質を養う場として、社会的な分業体制の一端を担っています。
よくある質問
エリート主義とはどのような思想ですか?
「エリートの周流」とは何ですか?
権力エリートにはどのような分類がありますか?
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参考文献
- 佐伯孝夫・加藤秀治郎・岩渕美克(編)『政治社会学』一藝社、2013年。
- C・ライト・ミルズ『パワー・エリート』。
- 森嶋通夫『日本の選択――新しい国造りにむけて』岩波書店、1995年。
- 若林幸男「1920~30年代三井物産における職員層の蓄積とキャリアパスデザインに関する一考察」『明治大学社会科学研究所紀要』第53巻第1号、2014年。