物理学・測地学

鉛直とは:重力方向とジオイドの関係、測地学的性質の解説

鉛直とは:重力方向とジオイドの関係、測地学的性質の解説
物理学および測地学における「鉛直」の定義、重力の方向、ジオイドの法線としての性質、および鉛直線偏差について詳しく解説します。

📌 主なポイント

  • 鉛直とは重りの吊り下げられた糸が示す重力の方向であり、水平面に対して垂直な方向を指す。
  • 鉛直線は地球の重力の等ポテンシャル面であるジオイドの法線となる。
  • 実際の地球における鉛直線は、地形や質量分布の不均一性により、回転楕円体面の法線からわずかに傾斜する「鉛直線偏差」を持つ。

鉛直(えんちょく、英語:vertical)とは、重り(錘)を糸で吊り下げたときにその糸が示す方向、すなわち重力の方向を指します。基準となる水平面に対して垂直な方向であり、建築や土木、測量などの分野において基本的な基準線となります。

この方向を持つ直線を鉛直線(えんちょくせん、vertical line、plumb line)と呼びます。鉛直線は、地球の重力における等ポテンシャル面(ジオイド)に対して常に法線となります。

鉛直に吊り下げられた錘の様子
鉛直に吊り下げられた錘

地球における鉛直線の性質

地球上の鉛直線は、地球の質量分布や自転の影響を受けるため、単純な幾何学的中心とは一致しない複雑な性質を持っています。

地球の重力ポテンシャルを完全な球対称と仮定した場合、地表上のあらゆる鉛直線は地球の中心の一点で交わります。しかし、実際の地球の重力の等ポテンシャル面(ジオイド)は複雑に歪んでおり、回転楕円体面の法線方向とは一致しません。この実際の地表の鉛直方向の傾斜は鉛直線偏差と呼ばれています。

平均海水面、地球楕円体、その地点の鉛直線、地表面、ジオイドの関係図
平均海水面 地球楕円体 その地点の鉛直線 地表面 ジオイド

また、高度が上昇するにつれて、鉛直線はわずかに南北方向へ湾曲する性質があります。これは周囲の地形による影響や、赤道に近づくにつれて重力が変化することなどが要因となっています。

測地学および天文学における基準

回転楕円体の幾何形状に基づいて定められる経緯度は測地経緯度(地理経緯度)と呼ばれます。これに対し、地表の鉛直方向に基づく天頂方向を基準にして天文学的に定められる経緯度は天文経緯度と呼ばれます。これら二つの測 定値の間には、前述の鉛直線偏差に起因する差異が生じます。

よくある質問

鉛直と水平の違いは何ですか?
鉛直は重力が働く方向(下向き)を指し、水平は鉛直な方向に対して直角をなす面や方向を指します。
ジオイドと鉛直線の関係はどのようなものですか?
鉛直線は、地球の重力における等ポテンシャル面であるジオイドに対して常に法線(垂直)の方向となります。
鉛直線偏差とは何ですか?
実際の地表の鉛直方向が、地球の回転楕円体面における幾何学的な法線方向から傾斜している現象のことです。

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参考文献

地球物理学および測地学における標準的な定義に基づく。