流体力学
エトヴェシュ数:無次元量による流体の浮力と表面張力の評価

エトヴェシュ数(ボンド数)は浮力と表面張力の比を表す流体力学の無次元量です。定義、油滴径の解析、容器から盛り上がる水面、毛管長との関係を解説します。
📌 主なポイント
- ✓エトヴェシュ数は浮力と表面張力の比を表す無次元量である。
- ✓別名としてボンド数とも呼ばれ、エトヴェシュ・ロラーンドの名にちなむ。
- ✓水の毛管長は約2.7mmであり、表面張力と重力の支配関係を示す目安となる。
エトヴェシュ数(エトヴェシュすう、英: Eötvös number)とは、流体力学において浮力と表面張力の比を表す無次元量である。液中の液滴や気泡などの挙動を解析する際に用いられ、物理学者であるエトヴェシュ・ロラーンドにちなんで名付けられた。同義語としてボンド数(英: Bond number)とも呼ばれる。
定義
エトヴェシュ数 $Eo$ は、次の数式によって定義される。

ここで各変数は以下の通りである。
主な利用法
油滴の径と次元解析
水と混ざらない油滴を注射針の先端から水中に落とし入れる実験において、油滴の径を決める法則を無次元で表す際にエトヴェシュ数が登場する。油滴の径 $d$ に関係する物理量として、注射針の内径(代表長さ)$a$、水と油の間の界面張力 $oldsymbol{\sigma}$、密度差 $ riangle ho$、重力加速度 $g$ が挙げられる。


これらの関係から、油滴の径はエトヴェシュ数によって決定づけられることが示され、表面張力の測定や微量液滴の流量計測への応用につながる。
容器の縁から盛り上がる水面
コップなどの容器に水を一杯に注いだとき、表面張力によって水面は縁を超えて盛り上がる。この盛り上がりの高さ $h$ はヤング・ラプラスの式に基づき、エトヴェシュ数を用いて表すことができる。


毛管長との関係
表面張力と重力のどちらの効果が支配的になるかを分ける大きさの目安として、毛管長(もうかんちょう) $l$ が定義される。

毛管長を用いることで、エトヴェシュ数は代表長さとの比の二乗として書き表すことが可能となる。

よくある質問
エトヴェシュ数とは何を表す量ですか?
流体力学において、浮力と表面張力の比を表す無次元量です。
エトヴェシュ数の別名は何ですか?
ボンド数(Bond number)とも呼ばれます。
毛管長とはどのような目安ですか?
液滴に対して表面張力と重力のどちらの効果が支配的になるかを分ける大きさの目安です。
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参考文献
五十嵐保, 杉山均『流体工学と伝熱工学のための次元解析活用法』共立出版, 2013年, 155-156頁。相良紘「数学を知れば化学工学がわかる 第3回 恒等式と未定方程式のはなし」『化学工学』76巻9号, 536-538頁。中島章『固体表面の濡れ制御』内田老鶴圃, 2007年, 56頁。