地球科学

侵食(地学)の概要とメカニズム

侵食(地学)の概要とメカニズム
地学における侵食(erosion)の定義、水や風などの外的営力による地形形成プロセス、および河川や風食のメカニズムについて解説します。

📌 主なポイント

  • 侵食(erosion)は、水、風、氷河などの外的営力によって岩石や地層が削られる現象である。
  • 河川の侵食作用は、河床が岩盤であるか堆積物であるかによって大きく異なる。
  • 沖積河川における侵食と堆積は、流入・流出する土砂のバランス(土砂収支)によって決定される。

侵食(しんしょく、英: erosion)とは、水、風、氷河などの外的営力によって地表の岩石や地層が削り取られ、移動する現象を指します。学術的には「浸食」と表記されることもありますが、水に浸る現象に限らないため、地学分野では「侵食」の表記が一般的です。

ネゲヴ砂漠のワジ
ネゲヴ砂漠におけるワジ(涸れ川)の風景。乾燥地域における水流の侵食作用が地形を形成している。

侵食の主な要因

侵食は、主に以下の外的要因によって引き起こされます。

  • 水による侵食:降雨、河川流、波浪、氷河などが岩石を削ります。水流そのものによる物理的な削り取りは「洗掘」と呼ばれ、長時間かけて堅い岩盤が摩耗される現象は「磨食」と区別されます。
  • 風による侵食:風そのものの力に加え、風によって運ばれる砂粒が岩石を削る「サンドブラスト」のような作用があります。これは「風食」とも呼ばれます。
  • 生物による侵食:貝類やウニなどが岩石を穿孔・削り取る現象は「生物侵食(bioerosion)」と呼ばれます。

河川プロセスにおける侵食

河川による侵食作用は、河床の形態によって大きく異なります。

岩床河川の侵食

河床が岩盤で構成される「岩床河川」では、流れる水や運搬される土砂が直接岩盤を削ることで地形が変化します。

沖積河川の侵食

堆積物からなる「沖積河川」では、その区間に流入する土砂量と流出する土砂量のバランス(土砂収支)によって、侵食と堆積が決定されます。蛇行河川における側刻は、流路の延長を促し、勾配と運搬力を減少させる効果があります。

よくある質問

「侵食」と「浸食」のどちらを使うべきですか?
学術的には、水に浸る現象に限らないため「侵食」の表記が推奨されます。
洗掘と磨食の違いは何ですか?
洗掘は水流そのものによる物理的な削り取りを指し、磨食は長時間かけて堅い岩盤が摩耗される現象を指します。
生物侵食とは何ですか?
貝類やウニなどの生物が、石灰岩などの岩石を穿孔したり削ったりする侵食作用のことです。

関連記事

地形学風化堆積岩氷河地形海岸侵食

参考文献

  • 文部省編『学術用語集 地学編』日本学術振興会、1984年。
  • 松倉公憲『地形学』朝倉書店、2021年。
  • 小池一之ほか編『自然地理学事典』朝倉書店、2017年。
  • Willenbring, J. K., et al. (2013). "Earth is (mostly) flat: Apportionment of the flux of continental sediment over millennial time scales". Geology, 41(3), 343–346.