科学技術
誤差の概念と分類:測定および数値計算における不確かさ

測定や計算において生じる「誤差」の定義、系統誤差や偶然誤差といった分類、および数値計算における丸め誤差や桁落ちなどのメカニズムを解説します。
📌 主なポイント
- ✓誤差は測定値と真値の差として定義される。
- ✓測定誤差は系統誤差と偶然誤差に大別される。
- ✓計算誤差には丸め誤差、打ち切り誤差、情報落ち、桁落ちなどが含まれる。
- ✓工業設計では誤差を吸収するために公差が設定される。
誤差(ごさ、英: error)とは、測定や計算によって得られた値(実測値)と、理論的に正しい値(真値)との差を指す概念です。数値的に議論を行う際には、あらゆる測定や計算において誤差の可能性を考慮する必要があります。
一般に、真値が未知である場合、誤差は統計的な見積もりによって扱われます。工業製品の設計においては、製作段階で生じる誤差を許容範囲としてあらかじめ考慮する「公差」の概念が重要となります。

測定誤差
測定において生じる誤差は、主に「系統誤差」と「偶然誤差」に分類されます。
系統誤差
測定方法や測定器の特性に起因し、一定の傾向を持って生じる誤差です。例えば、目盛が摩耗した物差しを使用する場合などが該当します。原因が特定できれば較正によって取り除くことが可能ですが、完全な除去は困難な場合が多いです。
偶然誤差
測定のたびにランダムに生じるばらつきです。測定方法の改善によって低減できる場合もありますが、本質的に取り除くことは難しく、繰り返し測定の平均値をとることでその影響を抑えるのが一般的です。

計算誤差
コンピュータを用いた数値計算においても、有限の桁数で扱うことに起因する誤差が生じます。
- 丸め誤差:数値を特定の桁で切り上げ・切り捨て・四捨五入する際に生じる誤差。
- 打ち切り誤差:無限級数などの反復計算を途中で終了させることで生じる誤差。
- 情報落ち:絶対値の大きい数と小さい数を加減算する際、小さい数が無視される現象。
- 桁落ち:ほぼ等しい数値同士の減算において、有効数字が急激に減少する現象。
よくある質問
系統誤差と偶然誤差の違いは何ですか?
系統誤差は測定器や方法に起因する一定の傾向を持つ誤差であり、偶然誤差は測定ごとにランダムに生じるばらつきのことです。
桁落ちとはどのような現象ですか?
ほぼ等しい数値同士を減算する際に、有効数字が大幅に減少してしまう計算誤差の一種です。
誤差を完全になくすことはできますか?
現実の測定や有限の桁数を用いる計算において、誤差を完全になくすことは不可能です。誤差の範囲を把握し、適切に管理することが重要です。
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参考文献
- 岡村総吾監訳『IEEE電気・電子用語事典』丸善、1989年。
- 西野治『標準電気工学講座 電気計測』コロナ社、1985年。
- 大石進一(編著)『精度保証付き数値計算の基礎』コロナ社、2018年。
- 山本哲朗『数値解析入門(増訂版)』サイエンス社、2003年。