動物相(ファウナ)の定義と生物学的概念

📌 主なポイント
- ✓動物相(ファウナ)は、特定の地域や時代に生息する動物の集合を指す。
- ✓名称はローマ神話の神ファウヌスに由来し、リンネの著作によって学術用語として定着した。
- ✓調査手法は、対象とする分類群や生息環境に応じて厳密に設定される必要がある。
- ✓古生物学では、地層の年代や環境を分析するための指標として動物相が活用される。
動物相(どうぶつそう、英: Fauna)とは、ある特定の地域や時代に生息する動物の集合を指す生物学的な集合概念です。植物における「植物相(フローラ)」、全生物を対象とする「生物相(バイオータ)」と対をなす用語であり、ラテン語由来の「ファウナ」という呼称でも広く用いられます。

名称の由来
「ファウナ」という言葉は、ローマ神話に登場する田園と森林の神であるファウヌス(Faunus)の女性形に由来します。18世紀の生物学者カール・フォン・リンネが自著『Fauna Suecica(スウェーデンの動物相)』の書名としてこの言葉を用いたことが、学術用語として定着する契機となりました。現在では、特定の地域や地質時代の動物群をカタログ化した文献やリストそのものを指す場合もあります。
動物相の調査と区分
動物相の調査は、植物相の調査とは大きく異なる特性を持ちます。植物は移動せず、群落を形成して生育するため一括した調査が比較的容易ですが、動物は大きさ、行動様式、生息環境が極めて多様であり、すべての種を網羅的にリストアップすることは困難です。そのため、調査にあたっては意図的に範囲を設定することが一般的です。
分類群による区分
特定の分類群に焦点を当てて調査を行う手法です。「日本の昆虫相」「琉球列島のカエル相」のように、綱や目といった分類階級を冠して表現されます。動物学者は専門とする分類群が限定されることが多いため、この手法は調査の信頼性を確保する上で有効です。
生息環境による区分
同一の生息環境にいる動物を、共通の採集手法を用いて調査する手法です。水中の動物や土壌動物など、特定の環境に依存する生物群を対象とする場合に用いられます。ただし、採集に用いる網の目や道具のサイズによって捕獲できる対象が限定されるため、動物のサイズに応じたカテゴリー分けが重要となります。プランクトン相などがこの例に含まれます。
古生物学における動物相
古生物学において、動物相という言葉は特定の地質時代や岩石層における化石の集合を指すために用いられます。類似の化石を含む岩石層を「動物群ステージ」として区分・分析することで、地層の年代決定や環境復元を行う重要な指標となります。
よくある質問
動物相と植物相の違いは何ですか?
なぜ動物相の全種調査は難しいのですか?
古生物学で動物相が重要な理由は何ですか?
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参考文献
- Linnaeus, Carolus. Fauna Suecica. 1746.