物理学

フェリ磁性:結晶構造と磁気的特性の基礎

フェリ磁性:結晶構造と磁気的特性の基礎
フェリ磁性の定義、物質の例、歴史的背景、温度による磁化の複雑な挙動について解説する百科事典記事。

📌 主なポイント

  • フェリ磁性は、結晶中の異なる磁気モーメントの大きさが相殺しきれず、全体として非ゼロの磁化を持つ現象である。
  • フェリ磁性は1948年にルイ・ネールによって発見された。
  • 代表的な物質としてマグネタイトなどのフェライト系磁性材料が挙げられる。

フェリ磁性(英語: ferrimagnetism)とは、結晶中に逆方向あるいはほぼ逆方向の磁気モーメントを持つ2種類以上の磁性イオンが存在し、互いの磁気モーメントの大きさが異なるために全体として非ゼロの磁化を持つ磁性のことである。

フェリ磁性のスピン構造を示す図
フェリ磁性:結晶中の微小なレベルでみれば、スピンの向きを正反対な2つの副格子が弱め合うが、強度が異なるためその差がマクロな磁性となってあらわれる。

性質と温度依存性

強磁性や反強磁性と同様に、フェリ磁性を持つ物質も転移温度を超えると常磁性状態へと移行する。しかし、低温側の転移温度までの温度と磁化の関係を示す曲線(M-T曲線)は非常に複雑な挙動を示すことがある。

2種類の磁性イオンでネール温度が異なる場合、強度のより高い方の磁性イオンのネール温度がもう一方より低いと、温度上昇によって一度磁気分極が消失し、さらに温度を高めることで磁気分極が反転する現象が起きる場合がある。

スピンの向きが正反対ではない2つの副格子の場合の図
スピンの向きが正反対ではない2つの副格子の場合もフェリ磁性をあらわす。

また、希土類原子と遷移金属原子から構成されるフェリ磁性化合物の粉体に強力な磁場を印加すると、化合物の磁化の強さが段階的に変化する特性が観測される。これは、一方の磁気分極の方向が強力な外部磁界によって回転し、最終的にはもう一方の磁気分極方向と揃うことで引き起こされる。

フェリ磁性化合物の強磁性場中の磁化曲線特性を表すグラフ
フェリ磁性化合物の強磁性場中の磁化曲線特性

代表的な物質

フェリ磁性を示す代表的な物質の例として、マグネタイトをはじめとするフェライトと呼ばれる鉄系の磁性材料が挙げられる。さらに、希土類元素と遷移金属元素を組み合わせた金属間化合物にもフェリ磁性を示すものが存在する。

歴史的背景

フェリ磁性は、1948年にフランスの物理学者であるルイ・ネールによって発見された。提唱された当時はフェライトの磁性を指す言葉として用いられていたが、現在では反平行等のスピン構造を持つ化合物全般を指す用語として広く用いられている。

よくある質問

フェリ磁性とはどのような現象ですか?
結晶中に逆方向やほぼ逆方向の磁気モーメントを持つ2種類以上の磁性イオンが存在し、それぞれの大きさが異なることで全体として非ゼロの磁化を示す磁性のことです。
フェリ磁性は誰によって発見されましたか?
1948年に物理学者のルイ・ネールによって発見されました。
フェリ磁性を示す代表的な物質は何ですか?
マグネタイトなどのフェライトと呼ばれる鉄系の磁性材料が代表的です。

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参考文献

ルイ・ネールによる1948年のフェリ磁性に関する研究報告および物性物理学の標準的文献に基づく。