農業・園芸
植物栽培における肥料の基礎知識と成分構成

植物の生育に不可欠な肥料の定義、肥料の三要素をはじめとする必須・有用元素の分類、および化学肥料や有機質肥料の特徴について詳しく解説します。
📌 主なポイント
- ✓肥料の三要素は窒素、リン酸、カリウムである。
- ✓植物の生育には16または17の必須元素が存在する。
- ✓化学肥料の発展は人口増加に伴う食料生産の確保に大きく寄与した。
肥料とは、植物を生育させるための栄養分として人間が施すものである。土壌から栄養を吸って生育した植物を持ち去って利用する農業は、植物の生育に伴い土壌から減少する窒素やリンなどを補給しなければ持続困難である。そこで、減少分を補給するために用いるのが肥料であり、特に窒素・リン酸・カリウムは肥料の三要素と呼ばれる。
必須元素と分類
植物の正常な生育のためには、炭素、水素、酸素、窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄、ホウ素、塩素、銅、鉄、マンガン、モリブデン、亜鉛の16元素が必要である。これにニッケルを加えた17元素を必須元素とする場合もある。
炭素・水素・酸素は自然界の大気や水から吸収できるため人為的な供給は不要であるが、野菜などの作物を栽培する上では窒素・リン・カリウムが不足しやすいため肥料としての供給が必要となる。これらは「肥料の三要素」または「一次要素」と呼ばれる。
肥料の三要素の詳細
- 窒素 (N):主に植物を大きく生長させる作用があり、葉肥(はごえ)とも言われる。タンパク質や葉緑素の合成に関わる。
- リン酸 (P):開花結実に関係し、実肥(みごえ)とも言われる。農業・園芸分野ではリン酸塩類を表し、原料となるリン鉱石の枯渇が懸念されている。
- カリウム (K):根の発育と細胞内の浸透圧調整に関係し、根肥(ねごえ)といわれる。水溶性のため流亡しやすい。
二次要素と微量要素
カルシウム (Ca)、マグネシウム (Mg)、硫黄 (S) は「二次要素」または「中量要素」と呼ばれ、植物学上の多量要素に分類されるが肥料としての必要量はより少ない。また、鉄、マンガン、ホウ素、モリブデン、亜鉛、銅、塩素、ニッケルは「微量要素」とされ、微量で足りるため過剰障害への配慮が必要となる。
肥料の主な種類
肥料は製造工程や生産手段、化学的組成によって分類される。天然に産するものや加工した「天然肥料」と、化学的操作で製造された「化学肥料」がある。化学肥料の誕生とハーバー・ボッシュ法などの発明は、人口増加に耐えうる食料生産に寄与した。また、動植物質を原料とした「有機質肥料」は、時間をかけて分解され土壌に長期間蓄積される特徴を持つ。
よくある質問
肥料の三要素とは何ですか?
窒素、リン酸、カリウムの3つの元素を指し、植物の生育において特に不足しやすく多量に必要とされるため「肥料の三要素」と呼ばれています。
化学肥料と有機質肥料の違いは何ですか?
化学肥料は化学的操作によって製造される無機質肥料が中心で即効性があります。一方、有機質肥料は動植物質などの有機物を原料としており、分解に時間はかかりますが効果が長く続き土壌を柔らかくする性質があります。
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参考文献
国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所 肥料資料 / 農林水産省 肥料関連基準資料