植物学
植物相(フローラ):定義と地理的区分

植物相(フローラ)の定義、生物学的な意味、および世界を6つに分ける植物区系界の分類について解説します。
📌 主なポイント
- ✓植物相(フローラ)は、ある地域や時代に自生する植物種の総体を指す。
- ✓フローラという言葉は、植物種を記載した書物(植物誌)を指す場合もある。
- ✓動物相(ファウナ)と対になる概念であり、両者を合わせて生物相と呼ぶ。
- ✓世界は植物の分布に基づき、6つの植物区系界に分類されている。
植物学における植物相(しょくぶつそう、英: flora、フローラ)とは、ある特定の地域や時代に自生するすべての植物種の総体を指します。この用語は、特定の環境下でどのような植物が生存しているかという生物地理学的な構成を理解するために用いられます。
また、フローラという言葉には、特定の地域や時代における植物種を網羅的に記載した書物や記録(植物誌)という意味も含まれます。語源はローマ神話に登場する花の女神フローラ(Flora)に由来しており、動物における同様の概念は動物相(ファウナ、fauna)と呼ばれます。

植物相の分類と概念
植物相は、地理的条件、気候、歴史的背景によってグループ化されます。過去の地質時代に存在した植物相は「化石植物相(fossil flora)」と呼ばれ、古環境の推定に役立てられます。
かつては「雑草植物相」や「農業植物相」といった人為的な分類も行われてきましたが、現代の生態学では、かつて雑草と見なされていた植物が生態系の維持に不可欠な役割を果たしていることが判明しており、人為的な選別による分類は限定的に用いられるようになっています。
植物区系
植物相の地理的分布に基づき、世界を区分する体系を植物区系(phytochorion)と呼びます。この区分は、その地域特有の植物群の組成を反映しています。最大区分である「植物区系界(floristic kingdom)」は、世界を以下の6つのエリアに分類しています。
- 全北植物区系界(Holarctic Kingdom)
- 旧熱帯植物区系界(Paleotropical Kingdom)
- 新熱帯植物区系界(Neotropical Kingdom)
- オーストラリア植物区系界(Australian Kingdom)
- ケープ植物区系界(South African Kingdom)
- 南極植物区系界(Antarctic Kingdom)

よくある質問
植物相と植生の違いは何ですか?
植物相は「そこにどのような種が存在するか」という分類学的なリストを指すのに対し、植生は「どのような植物がどのような形で群落を作っているか」という外観や構造に焦点を当てた概念です。
植物区系界はどのように分類されていますか?
植物の地理的分布に基づき、全北、旧熱帯、新熱帯、オーストラリア、ケープ、南極の6つの界に分類されています。
雑草植物相という分類は現在も使われていますか?
かつては管理対象として用いられていましたが、現在では生態系における重要性が再評価されており、人為的な選別による分類は以前ほど重視されていません。
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参考文献
植物学事典、生物地理学概論、および各地域のオンライン植物誌データベース(eFloras等)。