気象学
霧(気象現象)の概要と特性

霧の定義、発生メカニズム、気象観測における基準、および霧が環境や社会に与える影響について解説します。
📌 主なポイント
- ✓気象観測における霧の定義は、水平視程が1km未満の状態である。
- ✓霧と雲は発生原理が同じであり、地面に接しているか否かで呼び分けられる。
- ✓視程が陸上で100m以下、海上で500m以下になると濃霧として注意報が発表される。
霧(きり、英: Fog)とは、地表付近の空気中に微細な水滴が浮遊し、視程(見通せる水平距離)が低下する気象現象です。気象観測においては、水平視程が1km未満の状態を指します。
定義と分類
霧は、空気中の水蒸気が冷却されるなどの過程で飽和状態に達し、凝結することで発生します。気象学的には、地面に接しているものを「霧」、地面から離れているものを「雲」と定義しますが、発生原理や構成要素は同一です。
靄(もや)との違い
気象観測において、霧と靄は視程によって明確に区別されます。水平視程が1km以上10km未満のものは「靄」と呼ばれ、霧よりも薄く灰色がかって見えるのが特徴です。
発生要因による分類
霧は主に発生メカニズムによって以下のように分類されます。
- 放射霧:夜間の放射冷却により地表付近の空気が冷やされて発生する。
- 移流霧:湿った空気が冷たい地表や海面に移動することで発生する。
- 蒸気霧:冷たい空気が暖かい水面に移動する際に発生する。
気象観測と警報
気象庁の観測では、視程が陸上で100m以下(地域により異なる)、海上で500m以下となった場合を「濃霧」と呼びます。交通機関への影響が予測される場合には「濃霧注意報」や「海上濃霧警報」が発表され、安全確保のための警戒が呼びかけられます。
環境への影響と利用
霧は視界不良による交通障害を引き起こす一方で、生態系において重要な水源としての役割も果たします。森林地帯では、樹木が霧粒を捕捉して滴下させる「フォッグドリップ」により、降雨とは別の形で土壌に水分が供給されます。また、一部の地域ではこの霧水を農業用水として利用する技術も存在します。
霧と大気汚染
大気汚染物質が霧に取り込まれると「酸性霧」となり、植物の葉や枝に直接的な悪影響を及ぼすことがあります。かつて霧に煙が混ざった状態を指した「スモッグ」は、現在では霧の有無に関わらず重度の大気汚染状態を指す用語として定着しています。
よくある質問
霧と靄(もや)の違いは何ですか?
気象観測上の定義では、水平視程が1km未満であれば霧、1km以上10km未満であれば靄と分類されます。
霧はなぜ白く見えるのですか?
大気中に浮遊する微細な水滴が光を散乱させるため、白く霞んで見えます。
霧は水源になりますか?
はい、森林の樹木が霧粒を捕捉して滴下する「フォッグドリップ」により、生態系に水分を供給する重要な役割を果たしています。
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参考文献
- 気象庁「予報用語 氷、霜、霧、雷、日照時間」
- 気象観測の手引き(2007)
- International Cloud Atlas (WMO, 2017)
- 日本大百科全書「霧」(大田正次)