自動車の全車輪駆動システム:四輪駆動(4WD・AWD)の仕組みと歴史

📌 主なポイント
- ✓四輪駆動(4WD・AWD)は、4つの車輪すべてに駆動力を伝達して走行する自動車の駆動方式である。
- ✓主な導入目的は、雪道や泥濘地などの悪路における走破性の確保と、高出力エンジンのトルクを路面へ確実に伝えることの2点である。
- ✓旋回時の前後の回転差を吸収するため、センターデフや電子制御カップリング機構などの仕組みが用いられる。
四輪駆動(よんりんくどう)とは、自動車などの駆動方式の一種であり、4つある車輪すべてに駆動力を伝えて駆動輪として用いる方法を指す。二輪駆動や六輪駆動などと対になる概念である。
呼称と定義
日本語では四輪駆動車、あるいは略して四駆(よんく)と称される。英語圏ではfour-wheel driveの略称である4WD、またはall-wheel driveの略称であるAWDが用いられる。欧州では、4輪すべてが駆動輪であることを意味する4x4(フォーバイフォー)と呼ばれることも多い。一般的な乗用車を語る上では4WDとAWDは同義として扱われることが多いが、5輪以上を装備する大型トラックなどでは、駆動軸の構成によって区別される場合がある。
採用される主な目的
自動車に四輪駆動が採用される目的は、主に以下の2つに大別される。
- 悪路走破性の向上:雪道、泥濘地、砂地などの立往生しやすい環境において、4つのタイヤに駆動力を分散させることで確実なトラクション(牽引力)を確保し、スタックを防ぐ。
- 高出力・スポーツ性の追求:ハイパワーエンジンの強大なトルクを路面に効率よく伝え、安定した加速やコーナリング性能を実現する。
特に日本国内では、世界有数の豪雪地帯に人口密集地が存在することや、湿った重い雪質であることから四輪駆動の需要が高い。そのため、セダンやミニバン、小型車、軽自動車に至るまで幅広いカテゴリーに四輪駆動モデルが設定されている。
駆動方式と構造上の特性
車体が旋回する際、内側と外側のタイヤには回転差(内輪差)が生じる。一般的な自動車にはこの回転差を吸収するためにデファレンシャルギア(差動装置)が備えられている。四輪駆動車では前輪用と後輪用のペアに加え、前後輪の回転差を吸収するための機構(センターデフなど)が求められる。
センターデフ式とパートタイム式
現代の乗用車型四輪駆動の多くは、センターデフや電子制御カップリング機構を装備している。これらは走行状態に応じて前後輪へのトルク配分を適切にコントロールする。一方で、メカニカルな構造を重視する伝統的なクロスカントリーSUVなどでは、手動スイッチ等でトランスファーを直結・切り離しするパートタイム式が採用されることもある。パートタイム式を乾燥した舗装路で四輪駆動のまま走行させると、「タイトコーナーブレーキング現象」と呼ばれる抵抗や振動が発生するため、低μ路(滑りやすい路面)以外での使用には制限がある。
歴史的発展
四輪駆動の歴史は蒸気自動車や電気自動車の時代に遡る。
- 初期の試み:1805年にアメリカのオリバー・エバンスが製作した蒸気駆動の浚渫船に車輪を取り付けたものが、最初の四輪駆動車とされることがある。1900年前後にはフェルディナント・ポルシェがインホイールモーターを用いた電気式の四輪駆動車「ローナーポルシェ」を開発した。
- ガソリン車の登場:1902年、オランダのスパイカー兄弟がガソリンエンジンを用いた四輪駆動車「SPYKER」を製作した。これはトランスファーやセンターデフを備えた、現代のフルタイム式四輪駆動の原型といえる設計であった。
- 軍用車としての発展:第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけて、悪路走破性が求められる軍用車両として四輪駆動技術が急速に進歩した。アメリカの「ジープ」や日本の九五式小型乗用車(くろがね四起)などが開発され、戦後の市販車市場への技術転用が進んだ。
よくある質問
4WDとAWDの違いは何ですか?
なぜ日本で四輪駆動車の需要が高いのですか?
パートタイム式4WDで乾燥した舗装路を走るとどうなりますか?
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参考文献
参考資料:自動車工学に関する技術資料および各種公開文献