周波数変調(FM)の仕組みと歴史

📌 主なポイント
- ✓周波数変調(FM)は、情報信号の電圧変化によって搬送波の周波数を変化させる変調方式である。
- ✓エドウィン・アームストロングが1933年12月26日に周波数変調の特許を取得した。
- ✓FM受信機におけるリミッタ回路の動作により、同一周波数で強い信号が弱い信号を隠す「弱肉強食特性」が生じる。
周波数変調(しゅうはすうへんちょう、英語: frequency modulation、略称: FM)とは、情報を搬送波の周波数の変化によって伝達する変調方式の一つです。アナログ変調の主要な形式の一つであり、高音質な音声放送や無線通信など、幅広い分野で利用されています。
概要と原理
周波数変調では、送信する情報信号の電圧に応じて、搬送波の周波数を上下に変移させます。信号の電圧が最大または最小のときに、搬送波の周波数が最も高低に変化する仕組みです。無変調時の中心周波数からの変化分を周波数偏移と呼びます。FM方式は振幅が常に一定であるため、送信電力の変動がないという特徴を持っています。
回路と復調
かつては真空管をリアクタンス管として用いていましたが、トランジスタの発明以降は電圧制御発振器(VCO)の制御電圧に変調信号を加える方法が主流となりました。復調には、共振回路のスロープ特性を利用した周波数弁別器(ディスクリミネータ)や、PLL回路を利用した手法が用いられます。
弱肉強食特性
FM方式の受信機では、AGC(自動利得制御)を用いずにリミッタで飽和増幅を行うため、入力される電波の振幅成分は完全に除去されます。このため、同一周波数帯において強い信号と弱い信号が同時に受信された場合、弱い信号は強い信号によって完全に隠されてしまい、存在が確認できなくなります。この現象は無線工学の現場やアマチュア無線の分野で「弱肉強食特性」という専門用語(ジャーゴン)で呼ばれることがあります。
理論と帯域幅
搬送波と信号波をそれぞれ数式で定義したとき、被変調波の位相角は時間積分によって求められます。変調波の周波数スペクトルはベッセル関数を用いて表現されます。また、変調指数が1未満程度の場合における、95%以上の電力が存在する占有帯域幅は、以下のカーソンの式によって近似的に表されます。
BW = 2(Δf + fsm)
ここで、BWは占有帯域幅、Δfは最大周波数偏移、fsmは信号波の最大周波数を示します。
FM放送の歴史
周波数変調の特許は、1933年12月26日にアメリカのエドウィン・アームストロングによって取得されました。アームストロングは1937年に世界初のFMラジオ放送局であるW2XMNを開設しました。事業としての最初のFMラジオ放送は、1941年に開局したテネシー州ナッシュビルのWSM-FMです。
日本国内では、1957年12月24日にNHKが東京・千代田送信所のテレビ用鉄塔を利用して実験放送を開始しました。民間放送としては、学校法人東海大学による実験局(JS2AO)が1958年12月26日に渋谷区富ヶ谷から送信を開始したのが最初であり、これが現在のTOKYO FMの前身となりました。
よくある質問
周波数変調(FM)とは何ですか?
カーソンの式とは何ですか?
弱肉強食特性とはどのような現象ですか?
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参考文献
- 高木利弘『スマートTVと動画ビジネス 次世代メディアをデザインするのは誰か?』2012年、インプレスジャパン、205-206頁。
- 日本ラジオ博物館「FM放送の始まり」