地球科学
伏流水の基礎知識と水理学的特徴

河川敷や旧河道の砂礫層中を流れる地下水である伏流水について、その定義、水理的特徴、環境汚染の実態や歴史的経緯をわかりやすく解説します。
📌 主なポイント
- ✓伏流水は河川敷や旧河道の砂礫層中を流れる地下水であり、地表の河川と水理的な関係が強い。
- ✓溶岩や石灰岩の空隙を流れる裂罅水とは区別される。
- ✓土壌層を通過するため細菌の検出率が低い一方、過去には産業廃棄物の影響で有機溶剤が検出された事例がある。
伏流水(ふくりゅうすい)とは、河川敷や旧河道の下層にある砂礫層、あるいは化石谷内の砂礫層中を流れている地下水(土壌水)であり、地表の河川との水理的な関係が強いものを指します。
概要と流動環境
伏流水は、比較的浅い場所にある透水性の高い砂礫層中を流れているのが特徴です。厳密な定義においては、扇状地などで河川から離れ、広く分布する一般的な地下水はこれに含まれません。

日本は国土が全般的に山岳に富んでいるため、扇状地や火山の麓など伏流水が存在しやすい環境が多く見られます。また、水質も概ね良好な場合が多いため、特に扇状地の扇端部では自噴する湧水池が形成されることがあります。

伏流水が発達した河川沿いでは、浅井戸であっても大量の地下水取水が可能であるため、上水道の有力な泉源として利用されることが少なくありません。なお、溶岩や石灰岩中の空洞および空隙を流れる地下水は裂罅水(または岩罅水)と呼ばれ、伏流水とは区別されます。
環境汚染と水質保全
地表を流れる表流水と比較して、伏流水は土壌層を通過する過程でろ過されるため、細菌などの検出率が極めて低いという特徴を持っています。
しかし、近年の日本では、水源の涵養域周辺における経済活動や産業の発展に伴い、伏流水から有機溶剤などが検出される事例も報告されています。例えば、名水百選に選ばれている静岡県・柿田川の湧水地においても、産業廃棄物の不法投棄の影響により1990年(平成2年)にトリクロロエチレンが検出され、一時期飲用が禁止される事態が発生しました。
よくある質問
伏流水とはどのような水ですか?
河川敷や旧河道の砂礫層の下層を流れている地下水のうち、地表の河川と水理的な結びつきが強いものを指します。
裂罅水との違いは何ですか?
裂罅水は溶岩や石灰岩などの空洞や空隙を流れる地下水を指し、砂礫層を流れる伏流水とは区別されます。
伏流水は水質が良いのですか?
土壌層を通過するため細菌などの検出率が低く概ね良好ですが、涵養域の経済活動や不法投棄などにより有機溶剤が検出された事例もあります。
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参考文献
- 町田貞『地形学辞典』二宮書店、1981年。
- 山本荘毅『地下水学用語辞典』古今書院、1986年。
- 地学団体研究会編『新版 地学事典』平凡社、1996年。