化学物質フロン類の特性と歴史的変遷
📌 主なポイント
- ✓フロン類は炭素やハロゲンを含む化合物の総称であり、冷媒や溶剤などとして用いられてきた。
- ✓「フロン」は日本における俗称であり、海外ではデュポン社の商標であるフレオンと呼ばれることが多い。
- ✓1980年代以降、モントリオール議定書をはじめとする国際協定により、オゾン層を破壊する特定フロンの規制が進められた。
フロン類(フロンるい)は、炭素と水素のほか、フッ素、塩素、臭素などのハロゲンを多く含む化合物の総称である。場合によって指す物質の範囲は異なるが、一般には冷媒や洗浄用の溶剤、発泡剤、エアゾール噴霧剤などとして広く利用されてきた。
分類と法的定義
狭義の「フロン」は、炭素・フッ素・塩素のみからなるクロロフルオロカーボン (CFC) を指すが、塩素を含まないフルオロカーボン (FC)、水素を含むハイドロクロロフルオロカーボン (HCFC) やハイドロフルオロカーボン (HFC)、さらには臭素を含むハロンなども含めてフロン類と総称されることがある。国内の法制度においては、「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン類算定法)」などにおいて対象物質が明確に定義されている。
国際的には、ISO 817によって冷媒番号の付与体系が定められており、「R」に続く数字やアルファベットによって個別の物質が識別される。
歴史
アメリカにおける開発と普及
フロン類の開発は、家庭用冷蔵庫の冷媒として、それまで使用されていたアンモニアに代わる扱いやすい物質を求める中で進められた。1920年代、ゼネラルモーターズ (GM) の研究部門に所属していたチャールズ・ケタリングやトマス・ミジリーらの研究により開発が進み、1928年にフロン12の合成に成功した。1930年からはデュポン社との共同出資によるキネティック・ケミカル・カンパニーを通じて「フレオン」の商標で商業生産が開始された。化学的・熱的に極めて安定であったことから、当時は優れた化合物として広く普及した。
日本における展開
日本では、大阪金属工業(現・ダイキン工業)が軍艦の火薬庫や潜水艦の居住区向けの冷媒として1935年に「ダイフロン」の名称で開発し、1942年から量産を開始した。当初は日本国内でも「フレオン」と呼ばれることが多かったが、1959年にデュポン社からの商標に関する指摘を受け、日本冷凍機製造協会とダイキン工業の協議を経て「フロン」へ呼称が改められた。
環境への影響と国際規制
1970年代半ば以降、大気中に放出されたCFCが紫外線によって分解されて塩素ラジカルを生成し、オゾン層を破壊する可能性が科学的に指摘されるようになった。これを受けて国際的な協議が進められ、1985年の「オゾン層の保護のためのウィーン条約」および1987年の「モントリオール議定書」が採択された。これにより、オゾン層破壊効果の高い特定フロンの製造および輸入が段階的に禁止された。
CFCの代替として開発されたHCFCやHFCについても、強力な温室効果ガスであることが判明し、地球温暖化対策の観点から規制や排出抑制の対象となっている。日本国内では、1988年に制定されたオゾン層保護法や、その後の各種リサイクル法・フロン類管理法に基づき、回収や破壊の徹底が図られている。
よくある質問
フロン類とはどのような物質の総称ですか?
「フロン」という呼び方の由来は何ですか?
フロン類が規制されるようになった主な理由は何ですか?
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参考文献
ダイキン工業 『回顧七十年』 1963年
近畿冷凍空調工業会 『創立30周年記念史』 1978年