日本の歴史

普通選挙法(大正14年)の概要と歴史的意義

普通選挙法(大正14年)の概要と歴史的意義
1925年に制定された普通選挙法(大正14年法律第47号)の成立背景、内容、および日本の選挙制度における歴史的意義について解説します。

📌 主なポイント

  • 1925年(大正14年)に加藤高明内閣によって制定された。
  • 満25歳以上のすべての成年男子に選挙権が付与された。
  • 有権者数が約307万人から約1240万人へと約4倍に増加した。
  • 治安維持法と同時期に成立し、その関連性が指摘されている。

普通選挙法(大正14年法律第47号)は、1925年(大正14年)に加藤高明内閣の下で制定された、日本における男子普通選挙を規定した法律です。正確には、1900年制定の衆議院議員選挙法を全部改正する形で成立しました。

成立の背景

大正時代、民衆による普通選挙を求める運動が高まりを見せていました。貴族院を背景とした清浦奎吾内閣に対し、高橋是清、犬養毅、加藤高明らが「護憲三派」を結成し、政党内閣の樹立と普通選挙の実施を掲げて第二次護憲運動を展開しました。この運動の勝利を経て成立した加藤高明内閣が、公約として選挙法改正に着手しました。

法案審議過程では、枢密院や貴族院による修正が加えられました。特に被選挙権の年齢制限や、貧困を理由とした欠格条項の範囲を巡って議論が紛糾しましたが、両院協議会での妥協を経て1925年3月29日に成立し、5月5日に公布されました。なお、同議会では治安維持法も成立しており、普通選挙法との交換条件であったという説も存在します。

日本国政府国章
日本国政府国章

主な内容

この法律により、それまでの納税額による制限選挙が撤廃されました。日本国籍を持ち、内地に居住する満25歳以上のすべての成年男子に選挙権が与えられました。これにより、有権者数は改正前の約307万人から、1928年の第16回衆議院議員総選挙時には約1240万人へと大幅に増加しました。一方で、成年女子には依然として選挙権が認められませんでした。

また、この改正により不在者投票制度が導入されましたが、対象は船舶や鉄道の乗務員、軍人に限定されていました。選挙取締法的な性格が強まったことも本改正の特徴です。

歴史的影響とその後

普通選挙法に基づく選挙は、1928年の第16回総選挙から1942年の第21回総選挙まで計6回実施されました。戦後、1945年の改正を経て、1946年の第22回衆議院議員総選挙において、初めて成人男女による完全普通選挙が実現しました。

よくある質問

普通選挙法で女性にも選挙権は与えられましたか?
いいえ、この法律では満25歳以上の成年男子のみに選挙権が与えられ、女性には認められませんでした。
普通選挙法が適用された最初の選挙はいつですか?
1928年(昭和3年)に行われた第16回衆議院議員総選挙が、普通選挙法に基づく最初の選挙です。
なぜ「普通選挙法」と呼ばれるのですか?
正式名称は「衆議院議員選挙法」の全部改正ですが、納税要件を撤廃し、成年男子による普通選挙を実現したことから、一般的に「普通選挙法」と通称されています。

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参考文献

  • 衆議院議員選挙法(大正14年5月5日法律第47号) - 国立国会図書館 日本法令索引
  • 中澤俊輔「治安維持法の再検討:―政党内閣期(1918~32)を中心として―」『日本政治學會年報政治學』第61巻第1号、2010年。
  • 佐藤令「在宅投票制度の沿革 : 身体障害者等の投票権を確保する制度」『調査と情報』第419号、国立国会図書館、2003年。