気象学における風塵現象とその特徴

📌 主なポイント
- ✓風塵は、風によって地表の塵や砂が空気中に舞い上がる気象現象である。
- ✓水平視程が1キロメートル未満に悪化し、高く巻き上げられたものは砂塵嵐と呼ばれる。
- ✓日本国内でも関東地方の空っ風ややちぼこりなど、地域的な事例が知られている。
気象用語としての風塵(ふうじん)とは、風によって地表の塵や砂が空気中に舞い上がる現象を指します。
気象庁の観測において大気現象の記録の対象となっており、水平視程の状態によって分類されます。
発生機構と分類
乾燥地域に限らず、植生がなく乾燥する時期には、強風に伴って土壌の粒子が空気中に巻き上げられます。
発生の主な要因は風の強さのほか、地表の乾燥度やそれを左右する土質です。表土が移動することにより、農地の肥沃度に影響を及ぼすことがあります。
また、強い風によって塵や砂が高く巻き上げられ、目の高さの水平視程が1キロメートル未満になったものは砂塵嵐と呼ばれ、天気の記録の対象にも追加されます。

各地の事例
日本国内でも、地域や季節によってさまざまな風塵現象が知られています。
関東地方および周辺の事例
関東地方では、秋の収穫を終えたあとの畑地に強風が吹き、土ぼこりや砂塵が舞うことがあります。
群馬県の赤城山南方地域では、冬の乾燥期に「赤城おろし」や「空っ風」と呼ばれる強風が吹き付け、顕著なエリアでは家屋の西や北に屋敷林を設けて土ぼこりから家を守る工夫が歴史的になされてきました。

かつて東京西部を含む武蔵野地域では、春先を中心に細かな土ぼこりが舞い上がって空を赤褐色にする現象が見られ、「土風」や「赤風」と呼ばれていましたが、都市化の進展とともに減少しました。
千葉県八街市周辺でも、きめ細かい表土を生かした落花生などの畑作が盛んな一方、乾燥する3月前後の強風時に土ぼこりが舞い上がる現象が知られ、「やちぼこり」と呼ばれています。春先に畑地がむき出しにならないよう緑肥作物を栽培するなどの対策が講じられています。
また、屋外イベントへの影響として、正月に行われる箱根駅伝において湘南海岸付近で発生することがあり、強風と相まって競技に影響を与える場合があります。
類似の用語と関連分野
口語表現として、砂埃、砂煙、土埃、土煙、地煙、黄塵といった表現が用いられます。
大気環境分野では、大気汚染源に着目して大気に拡散される土壌粒子などを「飛散性粉塵(fugitive dust)」と呼びます。地質学分野などでは、エアロゾル粒子の来源や組成に着目して「鉱物ダスト」と呼ばれることがあります。さらに、強い風がシルト以下の大きさの塵を巻き上げて遠くまで運ぶ現象や堆積物は、「風成塵」と呼ばれています。
よくある質問
風塵とはどのような現象ですか?
砂塵嵐との違いは何ですか?
日本国内で風塵が見られる代表的な例は何ですか?
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参考文献
- 気象観測の手引き 平成10年9月, 気象庁, 2007年.
- 日本大百科全書(ニッポニカ), 平凡社.
- 沙漠の事典, 丸善出版, 2009年.
- 土の百科事典, 丸善出版, 2014年.
- 地形学, 朝倉書店, 2021年.