建築および都市における外部空間の概念と構成
📌 主なポイント
- ✓外部空間とは、建築の内部空間に対する建物の外の空間を指す建築・都市計画の概念である。
- ✓建築家の芦原義信による著作『外部空間の設計』(1975年)を通じて建築界に広く提案された。
- ✓外部空間の構成要素には、境界、場所、出入口、通路、しるし、周域などが含まれる。
- ✓近代都市計画の機能的純化に対し、歴史的な広場や空間の構成形式に関する研究が日本建築学会等で行われてきた。
外部空間(がいぶくうかん、英語: exterior space)とは、建築分野において建物の内部空間に対する、建物の外の空間全般を指す概念である。住宅における庭園から都市の広場や街路に至るまで、建築的スケールから都市的スケールまでを包含する。
概念の提唱と定義
建築界における外部空間という概念は、建築家の芦原義信によって提唱された。芦原はその著作『外部空間の設計』(1975年)の中で、外部空間の本質を「自然の中で自然を限定すること」にあると述べている。外部空間は単に無限に広がる自然そのものではなく、人間によって創られた目的のある外部の環境であり、枠(フレーム)によって切り取られた空間であるとされる。
また、深谷光軌は同様の意味で「外空間」という用語を用いており、都市計画や建築計画の分野において空間の内部性と外部性の関係性に関する研究が重ねられてきた。
外部空間の構成要素
外部空間は、スケールや種類を問わず、空間構造を形作る少数の構成要素によって成り立っているとされる。志水英樹の研究などによれば、外部空間の構造特性を分析する上で、以下の要素が挙げられる。
- 境界:空間を区切る壁やへい、植栽などの物理的・視覚的境界
- 場所:特定の目的や機能を持つまとまりのあるエリア
- 出入口:内と外、あるいは異なる空間を接続する結節点
- 通路:人や物の移動を導く動線空間
- しるし:空間の目印や象徴となるオブジェや建築的特徴
- 周域:周辺の環境や領域を取り巻く広がり
都市計画と外部空間の歴史的展開
近代の都市計画においては機能的純化のアプローチが重視され、土地利用の効率化や交通・排水機能の整備が優先される中で、都市空間が持つ人間の情感的側面や外部空間の質的検討が等閑視される傾向があった。これに対し、19世紀末のウィーンでカミロ・ジッテが『広場の造形』を通じて歴史的な広場の分析から普遍的原理を導き出したように、建築単体だけでなく周辺の都市空間や外部領域との関係性を再評価する動きが存在する。
日本の伝統的な空間においても、神社仏閣の参道空間に見られるように、「俗」の世界から「聖」の世界へ移行するための心理的プロセスを空間化するなどの工夫が見られ、自然条件や地形を巧みにとり入れた多様な演出がなされてきた。
関連用語
建築や土木の現場、関連書籍においては、文脈に応じて異なる用語が用いられることがある。マンションの外回りや造園分野では「ランドスケープ」という表現が用いられることが多く、上下水道施設の敷地内屋外工事では「場内整備」、屋外の園地整備では「環境整備」といった実務用語が使用される。
よくある質問
外部空間とは何ですか?
外部空間という概念は誰が提唱しましたか?
ランドスケープとの違いは何ですか?
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参考文献
芦原義信 『外部空間の設計』 彰国社, 1975年.