電力工学
送電線のギャロッピング現象:概要と発生メカニズム

送電線に雪や氷が付着した状態で強風を受けることで発生する「ギャロッピング現象」のメカニズム、発生条件、および対策について解説します。
📌 主なポイント
- ✓ギャロッピング現象は、送電線への着氷雪と強風が組み合わさることで発生する自励振動である。
- ✓送電線の断面形状が着氷雪により変化し、風から揚力を受けることが振動の主な要因となる。
- ✓対策として、送電線同士の接触を防ぐための相間スペーサやルーズスペーサの設置が行われる。
ギャロッピング現象(Galloping)とは、送電線に雪や氷が付着した状態で強風が吹き付けた際、送電線が上下に激しく振動する現象を指します。この現象は、着氷雪によって送電線の断面形状が変化し、風から大きな揚力を受けることで発生する自励振動の一種です。

発生メカニズム
通常、送電線は円形の断面をしていますが、風上側に雪や氷が付着すると、断面が長円形や翼のような形状に変化します。この形状変化により、風が吹き抜ける際に揚力が発生し、送電線が鉛直方向(上下)に大きく振動します。この鉛直振動に、送電線特有の水平方向の振動やねじれ振動が加わることで、振幅が拡大し、継続的な激しい振動となります。
発生条件
ギャロッピング現象は、特定の気象条件と送電線の配置が重なった際に発生しやすくなります。主な条件として以下の点が挙げられます。
- 風向:送電線に対してほぼ直角方向(45度以上)から風が吹く場合。
- 風速:定常的で強弱変化の少ない強風(風速約5m/s以上)が継続する場合。
- 着氷雪:気温が水の融点に近い0℃から2℃程度の環境下で、雨氷や樹氷などが付着しやすい状況。
設備への影響と対策
この現象が発生すると、送電線同士が異常接近・接触し、短絡(ショート)による停電や設備の破損を招く恐れがあります。また、激しい振動は碍子や鉄塔などの支持物に対して過大な張力変動を与え、疲労障害の原因となることもあります。

対策としては、送電線同士の接触を防ぐために、通常のスペーサに代えて「ルーズスペーサ」や「相間スペーサ」を設置し、電線間の離隔距離を確保する手法が一般的です。
よくある質問
ギャロッピング現象はなぜ発生するのですか?
送電線に雪や氷が付着して断面形状が変化し、風から揚力を受けることで、送電線が上下に激しく振動する自励振動が発生するためです。
どのような気象条件で発生しやすいですか?
気温が0℃から2℃程度の着氷雪が発生しやすい環境下で、送電線に対して直角に近い方向から定常的な強風が吹く場合に発生しやすくなります。
どのような被害が想定されますか?
送電線同士の接触による短絡(ショート)や停電、また激しい振動による碍子や鉄塔の疲労損傷などが懸念されます。
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参考文献
- 松宮央登, 西原崇, 清水幹夫 ほか「着氷雪によって生じる送電線のギャロッピング」『日本風工学会誌』 2012年 37巻 1号 p.27-33
- 清水幹夫, 守護雅富, 佐藤順一「送電線のギャロッピングの幾何学的非線形解析」『構造工学論文集』 Vol.44A 1998年 3月 p.951-960