自然地理学

岩石海岸の地形的特徴と侵食プロセス

岩石海岸の地形的特徴と侵食プロセス
露出した岩石からなる岩石海岸の定義、波食や風化、生物学的侵食による地形形成の仕組み、日本における分布について解説します。

📌 主なポイント

  • 岩石海岸は、山地や丘陵が直接海に迫る地域に多く見られる露出岩石からなる海岸である。
  • 侵食作用の主な要因には、波の打撃や圧縮空気による波食、風化作用、生物学的侵食が含まれる。
  • 日本国内では、瀬戸内海や九州北西部のほか、室戸岬や能登半島などの隆起性海岸にも多く分布している。

岩石海岸(がんせきかいがん、英語: rocky coast)とは、山地、丘陵、台地が直接海に迫っている地域において、露出した岩石からなる海岸のことである。磯浜海岸とも呼ばれる。海岸地形は大別して岩石海岸と砂浜海岸に分類される。

岩石海岸の例
岩石海岸の例

概要と地理的分布

岩石海岸は、山地が海に迫る場所や、出入りが複雑な沈水海岸において形成されやすい。侵食作用によって海食台、波食棚、海食崖、海食洞などの特徴的な侵食地形が発達する。海岸線が複雑で水深が深い場所が多く、天然の良港となり漁業が盛んな地域もみられる。日本では瀬戸内海一帯、九州北西部のほか、足摺岬、室戸岬、能登半島、佐渡島などの海岸段丘が発達した隆起性の海岸にも広く分布している。

岩石海岸における侵食作用

岩石海岸の地形は、おもに波による侵食、風化、および生物学的侵食などの複合的な作用によって形成される。また、陸上のマスムーブメントや河川、氷河、風などの影響も受ける。

波の侵食作用

波の侵食作用は、波形勾配の急な波が押し寄せる場所や、岬の先端などに集中しやすい。具体的な作用としては、波の振動、岩石への打撃、波と岩石の間の空気の圧縮、静水圧の変化、そして波による削磨(しょうま)が挙げられる。波が岩石に衝突する際、割れ目の中に急速に水が押し込まれ、閉じ込められた空気が圧縮されて岩石をはぎ取る。さらに、はぎ取られた岩屑が波によって動かされることで崖や海底のプラットフォームを削っていく。

風化による侵食作用

海岸における風化作用には、水和作用、塩の結晶作用、岩石の膨張、弛み、凍結作用、溶解などが含まれ、おもに高潮位付近で強く働く。海水面付近の風化は、均質で細粒かつ水平層理を持つ堆積岩に対して特に効果的に作用し、波の侵食によって運ばれる岩屑を作り出す。また、高緯度地方では凍結による岩石破砕作用が重要な役割を果たす。

生物学的侵食作用

生物による侵食作用は、軟体動物、海綿動物、蔓脚類などの生物が岩盤を削ったり穴をあけたりすることによって引き起こされる。熱帯の浅海においては、平均高潮位付近で青・緑藻類が石灰岩の溶解を促進する例などが知られている。

岩石海岸で見られる微地形

海水による海食作用、とりわけ波食作用は、潮間帯において最も強く働く。岩石海岸の前面には、高潮面から低潮面の下にかけて緩やかに傾斜したプラットフォーム(波食棚)が広がり、背後には険しい海食崖がそびえることが多い。ただし、岩石の種類、構造、波の侵食度合、海面変動の履歴によって、見られる微地形は多様に変化する。

よくある質問

岩石海岸とはどのような海岸ですか?
山地や丘陵、台地が直接海に迫っている場所に見られる、露出した岩石からなる海岸のことです。磯浜海岸とも呼ばれます。
岩石海岸の主な侵食作用には何がありますか?
おもに波の打撃や空気の圧縮による波食作用、塩の結晶化や凍結などを伴う風化作用、そして海洋生物による生物学的侵食作用があります。
日本で岩石海岸が多く見られる地域はどこですか?
瀬戸内海一帯、九州北西部のほか、足摺岬、室戸岬、能登半島、佐渡島などの海岸段丘が発達した地域に多く見られます。

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参考文献

文部省編『学術用語集 地理学編』日本学術振興会、1981年。
Richard J.Chorley, Stanley A.SCHUMM, David E. SUGDEN著、大内俊二訳『現代地形学』古今書院、1995年。
町田貞ほか編『地形学辞典』二宮書店、1981年。