地理情報システム(GIS)の概要と技術的基盤

📌 主なポイント
- ✓GISは地理空間情報をコンピュータ上で管理・分析するシステムである。
- ✓データ形式は主に格子状のラスターデータと、点・線・面で構成されるベクターデータに大別される。
- ✓1967年にカナダで開発されたCGISが、世界で初めての動作可能なGISとされる。
- ✓日本では国土地理院が中心となり、地理情報標準(JPGIS)の策定や普及を推進している。
地理情報システム(Geographic Information System、略称:GIS)とは、地理的な位置情報を持つデータ(地理空間情報)をコンピュータ上で作成、保存、管理、分析、および表示するためのシステムです。単なる地図の表示にとどまらず、空間的な関係性や時間の経過に伴う変化を分析し、都市計画、防災、環境調査、マーケティングなど幅広い分野で活用されています。
歴史的背景
世界で初めて実用的な地理情報システムとして開発されたのは、1967年にカナダのオンタリオ州オタワで開発された「カナディアンGIS(CGIS)」です。ロジャー・トムリンソンによって主導されたこのシステムは、土地資源の管理と分析を目的としていました。その後、コンピュータ技術の発展とともに、1980年代以降、ワークステーションやパーソナルコンピュータ上で動作する商用GISソフトウェアが普及し、現在ではインターネットを通じたWebGISやモバイル端末での利用が一般的となっています。
データ形式
GISで扱うデータは、主に「ラスターデータ」と「ベクターデータ」の2種類に大別されます。
ラスターデータ
空間を一定間隔の格子状(グリッド)に分割し、各セルに値を持たせる形式です。衛星画像、空中写真、標高データ(DEM)などがこれに該当します。リモートセンシング技術によって取得されたデータが多く、地形の補正処理(オルソ補正)を経て利用されることが一般的です。
ベクターデータ
点(ポイント)、線(ライン)、面(ポリゴン)の3つの要素で地理的特徴を表現する形式です。測量データやCADデータから作成され、道路網や行政区画などの境界線、施設の位置情報などを管理するのに適しています。属性データと結びつけることで、高度なデータベース管理が可能です。
主な機能
GISは、単なる地図の描画を超えた多様な機能を提供します。
- 空間解析:指定した範囲内のデータ抽出や、最短経路探索、バッファ(指定距離圏)の作成など、空間的な関係性を計算します。
- 属性管理:地図上の図形に対して、名称、数値、分類などの属性情報を紐付け、データベースとして管理・検索します。
- 主題図作成:特定の目的(人口密度、土地利用状況など)に応じて、データを視覚的に色分けや記号化して表現します。
- 重ね合わせ(オーバーレイ):異なる種類の地図情報を重ねることで、複数の要因間の相関関係を可視化します。
標準化と日本における展開
GISデータの互換性を確保するため、国際的にはOpen Geospatial Consortium(OGC)などが標準化を推進しています。日本においても、国土地理院が中心となり、国際標準(ISO 19100シリーズ)に準拠した「地理情報標準(JPGIS)」の策定や、行政における空間データ基盤の整備が進められています。これにより、異なるシステム間でのデータ共有や、行政サービスの効率化が図られています。
よくある質問
GISと一般的な地図アプリの違いは何ですか?
ラスターデータとベクターデータはどちらを使うべきですか?
GISはどのような分野で利用されていますか?
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参考文献
- 小項目事典,ASCII.jpデジタル用語辞典,IT用語がわかる辞典, 日本大百科全書(ニッポニカ),デジタル大辞泉,ブリタニカ国際大百科事典. “地理情報システムとは”. コトバンク. 2021年6月30日閲覧。
- “ベクター データとは” (2015年12月24日). 2021年3月4日閲覧。
- https://www.biodic.go.jp/kiso/col_mesh.html
- JPGISの概要 (国土地理院)