地球科学
間欠泉の科学的メカニズムと地理的分布

間欠泉の噴出メカニズム(空洞説・垂直管説)や世界各地の事例、地球外における存在について解説する百科事典記事。
📌 主なポイント
- ✓間欠泉は一定周期で熱湯や水蒸気を噴出する温泉である。
- ✓噴出メカニズムには主に「空洞説」と「垂直管説」がある。
- ✓英語の「geyser」はアイスランドの「ゲイシール」が語源である。
- ✓地球以外の天体(エンケラドゥスやトリトンなど)でも間欠泉の現象が確認されている。
間欠泉(かんけつせん、英: geyser)は、一定の周期で熱湯や水蒸気を地表に噴出する温泉の一種である。世界的に有名な事例として、アメリカ合衆国のイエローストーン国立公園やアイスランドのゲイシールが知られている。
噴出のメカニズム
間欠泉が周期的に噴出する仕組みについては、主に「空洞説」と「垂直管説」の二つの理論が提唱されてきた。
空洞説
空洞説は、地下に存在する空洞に溜まった地下水が地熱によって加熱され、水蒸気圧の上昇によって噴出するという考え方である。1811年にアイスランドで調査を行ったJ・マッケンシーが提唱し、日本では本多光太郎や寺田寅彦らが熱海温泉の大湯間欠泉をモデルとして理論の構築を行った。この説では、空洞内の水蒸気圧が噴出管内の水を押し出し、圧力が低下すると噴出が停止し、再び地下水が供給されるというサイクルを説明する。

垂直管説
1847年にロベルト・ブンゼンが提唱した垂直管説は、噴出管内の水が地熱で加熱され、下層部から沸騰が始まることで発生する水蒸気の泡が管内の圧力を低下させ、一気に突沸を引き起こすという理論である。日本の野口喜三雄は、1941年の研究において、間欠泉内の化学成分の変化からこの説を支持している。このモデルは、噴出周期が短い小規模な間欠泉のメカニズムを説明するのに適している。

世界の主な間欠泉
世界各地には、地質学的条件により多様な間欠泉が存在する。
- イエローストーン(アメリカ合衆国):大小200以上の間欠泉が集中しており、大規模な噴出が見られる。
- ゲイシール(アイスランド):英語で間欠泉を意味する「geyser」の語源となった場所である。
- フライガイザー(アメリカ合衆国):ネバダ州にある特徴的な外観を持つ間欠泉。
- ロトルア(ニュージーランド):地熱活動が活発な地域として知られる。

地球外の間欠泉
間欠泉の現象は地球以外でも確認されている。土星の衛星エンケラドゥスでは氷と水蒸気の噴出が観測されており、海王星の衛星トリトンでは窒素ガスによる噴出が確認されている。また、木星の衛星エウロパにも水蒸気を噴出する間欠泉が存在すると考えられている。
よくある質問
間欠泉はなぜ周期的に噴出するのですか?
地下の空洞や垂直管に溜まった水が地熱で加熱され、沸騰による圧力変化が一定のサイクルで繰り返されるためです。
「geyser」という言葉の由来は何ですか?
アイスランドにある「ゲイシール(Geysir)」という地名に由来しています。
地球以外にも間欠泉はありますか?
はい、土星の衛星エンケラドゥスや海王星の衛星トリトンなどで噴出現象が確認されています。
関連記事
温泉地熱火山エンケラドゥス
参考文献
- Travels in the Island of Iceland, during the Summer of the Year 1810 (2012)
- Honda, K., Terada, T. (1906). "On the geyser in Atami, Japan". Phys 22: 300-311.
- 野口喜三雄 (1941). "本邦間歇泉の化學的研究(其三)鳴子間歇泉の研究(第三報)". 日本化學會誌 62: 723-729.
- 信濃毎日新聞 (2022). "【続報】諏訪湖の間欠泉、修理しても噴出しない可能性"
- ナショナル ジオグラフィック日本版. "フライガイザー、ネバダ州"