雪氷学
氷河の定義と分類および日本における現況

氷河の定義や形成過程、分類方法を解説するとともに、近年確認が進んでいる日本国内の氷河について最新の調査状況をまとめました。
📌 主なポイント
- ✓氷河は重力によって流動する多年性の氷体である。
- ✓世界最大の氷床は南極大陸とグリーンランドに存在する。
- ✓日本国内では2012年以降、北アルプスにおいて氷河の存在が学術的に確認されている。
- ✓2025年1月時点で、日本国内で確認された氷河は計9カ所である。
氷河(ひょうが、英: glacier)とは、地球表面において積雪が自然に堆積・圧縮され、重力などの力によって継続的に流動する巨大な雪氷体を指します。狭義には山岳地域の氷河を指しますが、広義には氷帽や氷床を含めた概念として用いられます。
氷河の形成と定義
氷河は、融解と凍結を繰り返すことで形成されます。積雪が圧力を受けてフィルン(万年雪)へと変化し、さらに長期間の圧縮を経て氷河の氷(glacial ice)となります。国際的な定義としては、R.F. Flintによる「積雪が自然に堆積して形成した大きな雪氷体で、大部分が陸上に存在し、現在流動しているかあるいは過去に流動したことのあるもの」という記述が広く参照されています。

氷河の分類
氷河は温度条件や地形によって分類されます。国際雪氷委員会(ICSI)の分類では、大陸氷床、氷原、氷帽、溢流氷河、谷氷河、山腹氷河、小氷河・雪原、棚氷、岩石氷河の9種類に大別されます。また、末端が海や湖に達し、崩落して氷山を形成するものは「カービング氷河」と呼ばれ、複雑な変動を示すことが知られています。




日本における氷河の確認
かつて日本には氷河が存在しないとされてきましたが、2000年代以降の研究により、北アルプス(飛騨山脈)において現存する氷河が次々と確認されました。2012年に立山連峰の3つの雪渓が日本初の氷河として認定されたことを皮切りに、調査が進められています。

2018年には鹿島槍ヶ岳のカクネ里雪渓が氷河であることが確定し、その後も唐松沢雪渓などが順次認定されました。2025年1月には、白馬村の杓子沢雪渓と不帰沢雪渓が氷河であることが確認され、日本国内で確認された氷河は計9カ所となっています。
よくある質問
氷河と雪渓の違いは何ですか?
雪渓は雪が谷筋などに残ったものを指しますが、氷河はそれが圧縮され、重力によって流動していることが確認されたものを指します。
日本に氷河はいくつありますか?
2025年1月時点の調査報告によれば、日本国内で氷河と確認されている場所は計9カ所です。
氷河はなぜ減少しているのですか?
人為的な地球温暖化の影響により、融解量が蓄積量を上回ることで面積や質量が減少しています。
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参考文献
- 吉田勝「日本の氷河と世界の氷河―飛騨山脈カクネ里氷河見学会から(前編)」『地学教育と科学運動』第83巻、2019年。
- 福井幸太郎・飯田肇「飛騨山脈, 立山・剱山域の3つの多年性雪渓の氷厚と流動」『雪氷』第74巻第3号、2012年。
- 白馬村「白馬連山の氷河調査(杓子沢・不帰沢・白馬沢)」2026年3月24日閲覧。