言語学
ゴットシェー語:スロベニアのコチェービエ地方で話される南バイエルン語の方言

スロベニアのコチェービエ地方(ゴットシェー)で話されてきた南バイエルン語の方言、ゴットシェー語の歴史や言語的特徴について解説します。
📌 主なポイント
- ✓ゴットシェー語は、インド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派の高地ドイツ語(南バイエルン語)に属する言語である。
- ✓スロベニアのコチェービエ地方(ドイツ語名ゴットシェー)およびクライン地方の歴史的言語である。
- ✓1330年頃に西ケルンテンや東チロルからの移民がこの地域に移住したことで形成された。
ゴットシェー語(ゴットシェーご、Göttscheabarisch、ドイツ語: Gottscheerisch)は、インド・ヨーロッパ語族のゲルマン語派、西ゲルマン語群の高地ドイツ語(上部ドイツ語・バイエルン語・南バイエルン語)に属する言語(方言)である。

概要
現在のスロベニア共和国コチェービエ地方(ドイツ語圏ではゴットシェーと呼ばれる)で話されてきたことから、コチェービエ語(スロベニア語: kočevarščina)とも呼ばれる。また、かつてのクライン地方(カルニオラ地方、クラニスカ地方)に位置していた歴史的背景から、クライン語やカルニオラ語などの別称でも知られている。ドイツ系住民の居住地が存在していた1941年までは、この地域の主要な言語として広く用いられていた。
歴史と変遷
1330年頃、西ケルンテンや東チロルからクライン地方へドイツ系移民が移動したことが、ゴットシェー語の形成の契機となった。書き言葉としては標準ドイツ語が使用されてきた一方で、ゴットシェー語は専ら口語として日常会話や伝統的な民謡、民話の中で継承され、19世紀から20世紀前半にかけてはこれらの採集・出版が行われた。
しかし、19世紀以降は多くの話者がアメリカ合衆国などへ移住した。さらに第二次世界大戦中の1941年には、ドイツ軍による占領政策と人口移動に伴い、故郷であるゴットシェーに残る人々はわずか数百人にまで減少した。戦後にはユーゴスラビア政府によって使用が制限されるなど、歴史的・社会的な要因から大きな打撃を受けた。
関連文献
- Karl Julius Schröer: Wörterbuch der Mundart von Gottschee. Wien 1870.
- Adolf Hauffen: Die deutsche Sprachinsel Gottschee. Graz 1895.
- Hans Tschinkel: Grammatik der Gottscheer Mundart. Halle a. S. 1908.
- Walter Tschinkel: Wörterbuch der Gottscheer Mundart. Wien 1973.
- Maridi Tscherne: Wörterbuch Gottscheerisch-Slowenisch. Koprivnik/Nesseltal 2010.
よくある質問
ゴットシェー語はどの語族に属しますか?
インド・ヨーロッパ語族のゲルマン語派、西ゲルマン語群の高地ドイツ語(上部ドイツ語・バイエルン語・南バイエルン語)に属しています。
ゴットシェー語の別名にはどのようなものがありますか?
話されている地域にちなんでコチェービエ語と呼ばれるほか、クライン語、カルニオラ語、クラニスカ語などとも呼ばれます。
ゴットシェー語が話されてきた地域はどこですか?
現在のスロベニア共和国南部にあるコチェービエ(ドイツ語名ゴットシェー)地方で話されてきました。
関連記事
ドイツ語の方言南バイエルン語スロベニアの言語消滅危機言語
参考文献
Karl Julius Schröer: Wörterbuch der Mundart von Gottschee. K. k. Hof- und Staatsdruckerei, Wien 1870.
Adolf Hauffen: Die deutsche Sprachinsel Gottschee. Geschichte und Mundart, Lebensverhältnisse, Sitten und Gebräuche, Sagen, Märchen und Lieder. Styria, Graz 1895.
Maridi Tscherne: Wörterbuch Gottscheerisch-Slowenisch. Einrichtung für die Erhaltung des Kulturerbes Nesseltal, Koprivnik/Nesseltal 2010.