鉱物学
黒鉛(グラファイト)の性質と産業的利用

炭素から成る元素鉱物である黒鉛(グラファイト)の物理的性質、構造、歴史的背景、および現代の産業用途について解説します。
📌 主なポイント
- ✓炭素から成る元素鉱物
- ✓六方晶系に属し、層状構造を持つ
- ✓耐熱性、導電性、自己潤滑性に優れる
黒鉛(こくえん、英: graphite、別名:石墨)は、炭素のみから構成される元素鉱物です。六方晶系に属し、六角板状の結晶構造を持つことが特徴です。ギリシャ語で「書く」を意味するgrapheinにその名のルーツを持っています。
物理的性質と構造
黒鉛の構造は、炭素原子が亀の甲状に並んだ層が積み重なった形をしています。層の内部では炭素同士が強い共有結合で結ばれていますが、層と層の間は弱いファンデルワールス力で結合しているため、層状に剥離しやすい(へき開が完全である)という性質があります。この剥離した原子1個分の厚さの層はグラフェンと呼ばれ、特異な電子状態を持つことで注目されています。
よくある質問
黒鉛とダイヤモンドの違いは何ですか?
どちらも炭素の同素体ですが、結晶構造が異なります。黒鉛は層状構造で比較的柔らかく電気を通しますが、ダイヤモンドは立体的な網目構造で極めて硬いという特徴があります。
人造黒鉛とは何ですか?
コークスにタールやピッチを加えて成形し、超高温で結晶化処理を施した工業製品です。EV電池の負極材など、現代の産業において重要な役割を果たしています。
なぜ「黒鉛」と呼ばれるのですか?
かつて鉛を含んでいると誤認されていたため、ラテン語の「鉛(plumbum)」に由来する名称で呼ばれていました。現在では鉛を含まないことが判明していますが、その名残で黒鉛という名称が定着しています。
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参考文献
- ロナルド・ルイス・ボネウィッツ著、青木正博訳『岩石と宝石の大図鑑』誠文堂新光社、2007年、121頁。
- 文部省編『学術用語集 地学編』日本学術振興会、1984年。
- ロイター「EV電池材料の「人造黒鉛」、中国が圧倒的優位の現実」(2023年9月16日)。