天文学

木星の大赤斑:構造と観測の歴史

木星の大赤斑:構造と観測の歴史
木星の大赤斑は、太陽系最大の惑星である木星に存在する巨大な高気圧性の渦です。その構造、観測の歴史、そして近年の縮小傾向について解説します。

📌 主なポイント

  • 大赤斑は木星の南半球に存在する巨大な高気圧性の渦である。
  • 19世紀後半には直径約4万kmあったが、近年は縮小傾向にある。
  • 2017年の研究により、大赤斑が巨大な熱源であることが確認された。

大赤斑(だいせきはん、英: Great Red Spot)は、木星の南半球に存在する高気圧性の巨大な渦です。地球から望遠鏡を用いて観測可能な木星の象徴的な気象現象であり、その巨大さと持続性から長年天文学者の関心を集めてきました。

ボイジャー1号が撮影した大赤斑
ボイジャー1号が1979年に撮影した大赤斑。雲の微細構造が確認できる。

構造と特徴

大赤斑は木星の赤道から南に約22度離れた位置に存在します。木星の高速な自転に伴う強力なコリオリの力の影響を受け、反時計回りに回転しており、その周期は約6日です。雲頂高度は周囲よりも約8km高く、内部では複雑な大気の攪拌が行われています。2017年の研究では、大赤斑が巨大な熱源であることが報告されました。

大赤斑のアニメーション
大赤斑の回転を示すアニメーション。

観測の歴史

大赤斑の観測史は複雑です。1665年にジョヴァンニ・カッシーニによって発見されたとされていますが、1714年から1830年までの間は観測記録が途絶えています。近年の研究では、17世紀に観測された斑点と、1831年以降に継続して観測されている現在の大赤斑は、別物である可能性が高いと指摘されています。

近年の縮小傾向

かつては地球の直径の約3倍に相当する約4万kmの大きさがありましたが、20世紀後半から縮小が続いています。1979年のボイジャーによる観測では約2万3300km、2014年のハッブル宇宙望遠鏡による観測では約1万6500kmまで縮小しました。形状もかつての楕円形から真円に近い形へと変化しており、このままの傾向が続けば将来的に消滅する可能性も示唆されています。

縮小する大赤斑
経年変化により縮小を続ける大赤斑の様子。

よくある質問

大赤斑はいつ発見されましたか?
1665年にジョヴァンニ・カッシーニによって発見されたとされていますが、現在観測されている大赤斑は1831年以降に継続して観測されているものです。
大赤斑はなぜ縮小しているのですか?
正確な原因は完全には解明されていませんが、周囲の小さな渦が巻き込まれることで内部構造に変化が生じている可能性が指摘されています。
大赤斑はいずれ消滅しますか?
縮小傾向が続いているため、21世紀中頃には消滅する可能性があると推測されています。

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参考文献

  • 伊賀祐一. “天文ガイド 惑星の近況 2003年7月号 (No.40)”. 誠文堂新光社.
  • NASA. "Jupiter's Great Red Spot is Shrinking". 2014年5月15日.
  • エキサイトニュース. "木星の大赤斑の形成は約190年前か". 2024年6月20日.
  • アストロアーツ. "木星の大赤斑がさらに縮小、形・色にも変化". 2015年10月20日.