環境・都市計画

グリーンインフラとは何か:自然環境を活用した持続可能な社会基盤の仕組みと動向

グリーンインフラとは何か:自然環境を活用した持続可能な社会基盤の仕組みと動向
自然が持つ多様な機能を賢く利用し、社会や経済の課題を解決する「グリーンインフラ」の概念、特徴、および国内外の取り組みについて解説します。

📌 主なポイント

  • グリーンインフラは、自然環境が持つ多様な機能(生態系サービス)を活用して社会課題を解決する社会基盤のアプローチである。
  • 従来の人工構造物であるグレーインフラと対比され、これらを協調させることで持続可能な国土形成を目指す。
  • 日本では国土交通省が「グリーンインフラ官民プラットフォーム」を設立するなど、官民連携による普及や事例展開が進められている。

グリーンインフラ(英語: green infrastructure)または青と緑のインフラ(英語: blue-green infrastructure)とは、自然環境が持つ多様な機能を賢く利用し、都市や気候変動などの社会課題を解決するための生態学的枠組みを提供するアプローチである。従来のコンクリート構造物を中心としたインフラストラクチャー(グレーインフラ)に対して、自然の持つ多面的な価値を活かす持続可能な社会基盤として位置づけられている。

概念と主な特徴

グリーンインフラの根底にあるのは、自然環境や動植物がもたらす資源や仕組みを戦略的に利用し、豊かで魅力ある地域社会を構築するという考え方である。豊かな生物多様性に支えられた健全な生態系は、環境の変化や人為的な影響に対して高い安定性(しなやかさ、レジリエンス)を備えている。

このアプローチの大きな特徴は、単一の機能のみを目的とするのではなく、以下のような多面的な機能(生態系サービス)を同時に発揮する点にある。

  • 治水および水害リスクの軽減
  • 局所気候の緩和や熱ストレスの軽減
  • 生物多様性の保全と向上
  • 良好な景観の形成およびレクリエーション空間の提供
  • 二酸化炭素の固定化による地球温暖化防止への寄与

グレーインフラとの関係性

従来のダム、堤防、舗装道路などの人工構造物はグレーインフラと呼ばれ、設計された条件下で特定の機能を高い精度ですぐに発揮する利点を持つ。しかし、計画された寿命があり、定期的な大規模更新が必要となる。

一方、グリーンインフラは自然の自己回復力や順応性を利用するため、適切な維持管理のもとでコスト削減や長期的な安定性が期待できる。両者は対立する概念ではなく、現代の国土づくりにおいては、グレーインフラとグリーンインフラが相互に協調し、その中間段階にあるハイブリッド型のインフラを含めた柔軟な組み合わせが模索されている。

国内外の動向と展開

国際的には、欧州委員会(EC)が2013年にグリーンインフラ戦略を採択するなど、生物多様性の保全や気候変動適応策として政策的な位置づけが進められてきた。

日本国内においても、国土交通省が主導する国土形成計画や社会資本整備重点計画の中にグリーンインフラの考え方が取り入れられている。2020年3月には「グリーンインフラ官民プラットフォーム」が設立され、官民が連携した情報発信、技術手法の研究、優れた取り組みを表彰する「グリーンインフラ大賞」の創設などを通じて、社会への浸透と実践が進められている。具体的な事例としては、遊水地を活用した洪水調節機能の強化や、透水性舗装の導入、地域の自然環境を活かしたまちづくりなどが挙げられる。

よくある質問

グリーンインフラとは何ですか?
自然環境が持つ多様な機能や生態系サービスを賢く利用し、防災や環境保全、地域社会の活性化といった課題を解決するためのインフラおよび土地利用のネットワークのことです。
グレーインフラとの違いは何ですか?
グレーインフラがコンクリートダムや堤防などの人工構造物で特定の単一機能を高い精度で実現するのに対し、グリーンインフラは自然の持つ多様性と順応性を活かして多面的な機能を発揮し、維持管理コストの抑制や環境価値の向上を目指す点に違いがあります。
日本国内ではどのような取り組みが行われていますか?
国土交通省による「グリーンインフラ官民プラットフォーム」の設立や「グリーンインフラ大賞」の創設のほか、遊水地を活用した流域治水や、透水性舗装を取り入れた都市の気候緩和策などが進められています。

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生態系サービス流域治水気候変動適応策持続可能な開発目標生物多様性

参考文献

  • 国交省 【導入篇】なぜ、今グリーンインフラなのか
  • 国土交通省 グリーンインフラ官民プラットフォーム
  • 滋賀県 滋賀の流域治水政策