ガリ(地形)の解説:侵食による形成過程と特徴

📌 主なポイント
- ✓ガリ(雨裂)は、降水による集約した水の流れによって地表面が削られてできる地形である。
- ✓ガリは主に「アルコーヴ」「チャネル」「エプロン」の3つの要素で構成される。
- ✓初期段階の細溝は「リル」と呼ばれ、これらが発達してガリとなる。
- ✓火星の地表面においてもガリ形状の痕跡が認められており、地形解析が行われている。
ガリあるいはガリー(gully)とは、降水による集約した水の流れによって地表面が削られてできた侵食地形の一つであり、雨裂(うれつ)とも呼ばれる。
形成メカニズムと構成要素
雨水あるいは雪解け水が集まって流れを作ると洗掘が始まり溝が作られる。降水の度に溝は洗掘され、沢状に発達した地形をガリといい、この作用をガリ侵食(gully erosion)と呼ぶ。このプロセスにおいて、細溝のことをリル(rill)といい、樹枝状に複数の細溝が発達している際によく用いられる表現である。初成的なリルは全てガリに発達するわけではないが、環境によっては痕跡が残り、リルマークとして地層の底痕に認められることもある。

一般的に、ガリは以下の3つの要素で構成される。
- 削剥の起点となっている窪地であるアルコーヴ(alcove)
- 切削された土砂などが運ばれるチャネル(channel)
- 運ばれた土砂が堆積したエプロン(apron)
地形的特徴
ガリは、軟質な堆積物の表面に形成されやすい。削られた壁面は溝に流れ込む水の侵食によって側方に広がり、溝の底面は流水により洗掘が進むことで地形が発達していく。風化の著しい岩盤や、砕屑物粒子が固結していない地盤、および火山砕屑物からなる地盤に見られる侵食の代表例である。

火山の裾野や乾燥地帯に多く見られ、密度の高い枝状を形成することもある。急峻な斜面では直線状に細溝が複数形成されやすく、緩やかな斜面ではややうねりながら集約し、さらに斜面勾配が小さいと水の流れが迷走するため蛇行しながら発達する。軟質な地盤における流水は、下刻作用と側刻作用によってV字型の侵食谷を形成しやすい。

また、植生のない斜面や盛土した造成地にはガリ侵食が発達しやすく、土壌流出の観点からも問題視されることがある。

地図上の表記と応用
地図表記においては、涸れ沢や沢状の崖、断続的な小崩壊跡を包括して表現されることがある。涸れ沢や土石流跡などとの明らかな境界はなく、ガリー状地形として読み取られ、必要に応じて適切な凡例が付記される。
地球科学で培われてきたガリの解析技術は地球外の惑星科学にも適用されており、火星などの地表面にガリ形状の痕跡が認められた場合、その侵食の成因追跡が行われている。
よくある質問
ガリとはどのような地形ですか?
ガリを構成する3つの要素は何ですか?
リルとガリの違いは何ですか?
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参考文献
- 後藤和久, 小松吾郎『Google Earthで行く火星旅行』岩波書店、2012年、78頁。ISBN 978-4-00-029596-3。
- 逸見良道, 宮本英昭, Reid Parsons「地形変化から見る現在の火星の地質現象と将来の火星探査の展望」『日本惑星科学会誌』第27巻第3号、2018年、152-162頁。