生理学者

グンナー・スヴァエティチン:S電位の発見者

グンナー・スヴァエティチン:S電位の発見者
S電位の発見で知られる生理学者グンナー・スヴァエティチンの生涯と業績、視覚神経科学への貢献について解説します。

📌 主なポイント

  • 1915年フィンランド生まれ、1981年ベネズエラにて没。
  • 網膜の水平細胞から発生する「S電位」を発見した。
  • S電位の発見は、視覚の反対色説を裏付ける重要な生物学的実証となった。
  • 「S電位」の名称は、東北大学の本川弘一教授が提唱したものである。

グンナー・ニルス・トイヴォ・スヴァエティチン(Gunnar Nils Toivo Svaetichin、1915年1月13日 - 1981年3月23日)は、フィンランド出身の生理学者です。視覚神経科学の分野において、網膜におけるS電位(S-potential)の発見者として知られています。

研究室にいるグンナー・スヴァエティチン
研究室にて研究を行うグンナー・スヴァエティチン

経歴

1915年にフィンランドのカーリスで生まれました。ヘルシンキ大学医学部を卒業後、生理学者ラグナー・グラニトと協力し、視覚の電気生理学的研究に従事しました。1948年にスウェーデンへ移住し、1955年以降はベネズエラ科学研究所で研究活動を続け、同地で生涯を閉じました。

学生帽をかぶった若きスヴァエティチン
学生時代のグンナー・スヴァエティチン

S電位の発見と意義

1953年、スヴァエティチンは魚の網膜を研究する過程で、光刺激に対して過分極反応を示すニューロンを発見しました。当初、彼はこれを錐体細胞の活動電位と考え「錐体活動電位」と呼びましたが、後の研究により、この電位は網膜の2次層にある水平細胞から発生していることが判明しました。この発見者スヴァエティチンの頭文字をとって「S電位」と命名されました。

この発見は、視覚における反対色過程を裏付ける実験的証拠となり、網膜ニューロンが特定の波長(赤・緑・青)に対して感度を持つことを生物学的に実証しました。これはヤング=ヘルムホルツの三色説を補完する重要な知見として、視覚神経ネットワーク研究の基礎を築きました。

日本との関わり

スヴァエティチンの研究は日本の生理学界とも深い関わりがあります。「S電位」という名称は、1959年の会議において東北大学の本川弘一教授が提唱したものです。また、名古屋大学の御手洗玄洋名誉教授は、ベネズエラ科学研究所にてスヴァエティチンと共同研究を行いました。

よくある質問

S電位とは何ですか?
網膜の水平細胞から記録される、光刺激に対する過分極性の電位のことです。視覚の色情報処理において重要な役割を果たします。
なぜS電位と呼ばれるのですか?
発見者であるスヴァエティチン(Svaetichin)の頭文字「S」に由来します。1959年に本川弘一教授が提唱しました。
スヴァエティチンはどのような研究で知られていますか?
魚の網膜を用いた視覚の電気生理学的研究で知られ、特に色覚の反対色過程を示す神経メカニズムの解明に大きく貢献しました。

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参考文献

  • Webvision: "S-Potentials and Horizontal Cells", University of Utah, 2012.
  • 山中俊夫『色彩学の基礎』文化書房博文社、1997年。
  • 千々岩英彰『色彩学概説』東京大学出版会、2001年。
  • レオ・M.ハーヴィッチ著『カラー・ヴィジョン:色の知覚と反対色説』誠信書房、2002年。
  • Svaetichin, G. "The cone action potential", Acta physiologica Scandinavica, 1953.
  • Tomita, T., et al. "Further study on the origin of the so-called cone action potential (s-potential)", The Japanese Journal of Physiology, 1959.
  • 小野寺昇「御手洗玄洋 先生 インタビュー記事」『宇宙航空環境医学』第55巻第1号、2018年。