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H-IIロケットの概要と歴史

H-IIロケットの概要と歴史

H-IIロケット(エイチツーロケット)は、宇宙開発事業団(NASDA)と三菱重工業が共同で開発し、三菱重工業が製造した大型の人工衛星打上げ用液体燃料ロケットである。日本の人工衛星打ち上げ用液体燃料ロケットとしては初めて、主要技術の全てが国内で開発された。

\"H-IIロケットのアニメーションまたは図解\"
H-IIロケットのアニメーションまたは図解

開発の背景と経緯

これまでの日本の液体燃料ロケットは、アメリカのデルタロケットの技術を導入してライセンス生産を行う形がとられていた。しかし、国内技術の進歩を図り、1990年代以降の大型静止衛星の需要増加に対応するため、1984年に開発研究が開始された。1994年2月4日、第1号機の打ち上げに成功し、性能確認用衛星や軌道再突入実験機の軌道投入に成功した。

\"日本初の第1段用大型液体燃料エンジンのLE-7\"
日本初の第1段用大型液体燃料エンジンのLE-7

一方で、国産第1段用エンジンであるLE-7の開発は難航し、試験中の事故も発生した。また、諸外国製ロケットと比較して打ち上げコストが高く、国際市場での競争力に課題を抱えていた。1998年の5号機、1999年の8号機と連続して打ち上げに失敗したことを受け、次世代のH-IIAロケットへリソースを集中させるため、運用は終了となった。

機体構成

H-IIロケットは2段式であり、液体酸素と液体水素を第1段と第2段の両方に採用した当時としては世界初の大型実用ロケットである。推力を補うため、大型の固体ロケットブースター(SRB)が2本取り付けられている。

展示機と保存

運用終了後、各地で機体や実物大模型が保管・展示されている。

\"筑波宇宙センターの展示機\"
筑波宇宙センターの展示機
\"展示機に接続されたLE-7型エンジン\"
展示機に接続されたLE-7型エンジン

筑波宇宙センターでは、試験機体の第一段や第二段、LE-7型エンジンなどが屋外で常設展示されている。また、種子島宇宙センターには7号機の機体が保管されており、国立科学博物館の重要科学技術史資料(未来技術遺産)に登録されている。

参考文献

  1. 鈴木弘一著 『はじめての宇宙工学』 森北出版 2007年4月25日第1版第1刷発行 ISBN 978-4-627-69071-4
  2. 宇宙開発事業団史編纂委員会 「宇宙開発事業団史」、宇宙開発事業団、2003年9月、257頁
  3. 宇宙開発における計画管理は進捗によって「研究(研究→概念設計)」→「開発研究(予備設計)」→「開発(基本設計→詳細設計→維持設計)」→「運用」の4つの段階(フェーズ)に分かれている。要求に基づき仕様や計画を決めるのが「研究」、使用や計画を詳細に文書化し、新技術の試作をし実現性の目処を付け、開発体制を構築するのが「開発研究」、設計についての各種解析をし全体の試作品から実機を作るまでが「開発」である。「開発研究」までが企画立案フェーズ、「開発」以降が実施フェーズである。宇宙開発委員会は各フェーズアップに対する審査を行う。この一連の開発手法はNASAではPPP(Phased Project Planning)と呼び、NASDAが取り入れたものである。5.評価実施のための原則(文部科学省公式サイト)、設計品質確保の思想 航空宇宙エレクトロニクスに学ぶ「信頼性設計」(Tech Village 2006年3月28日)、図1 宇宙開発委員会における宇宙開発プロジェクトの評価システム(宇宙開発委員会公式サイト)を参照。
  4. 宇宙開発事業団(NASDA)沿革 JAXA公式サイト
  5. H-IIロケット、宇宙航空研究開発機構。
  6. わが国の宇宙輸送系の現状と今後の方向性 平成23年2月24日(首相官邸公式サイト 宇宙開発戦略本部)
  7. 『運輸多目的衛星(MTSAT)/H-IIロケット8号機の打上げ計画書及びH-IIロケット8号機の開発状況報告』(プレスリリース)1999年6月9日。オリジナルの2003年9月30日時点におけるアーカイブ。2016年8月7日閲覧。
  8. 松尾弘毅・監修 「ロケット工学」 コロナ社、2001年、191頁、ISBN 978-4-339-01222-4。
  9. 大澤弘之・監修 「新版 日本ロケット物語」 誠文堂新光社、2003年、206頁、ISBN 978-4-416-20305-7。
  10. “これからのロケット・人工衛星等の打上げ”. NASDA (1991年11月). 1999年11月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年7月31日閲覧。
  11. “ファン!ファン!JAXA! 種子島宇宙センター 施設紹介”. JAXA (2017年). 2018年10月8日閲覧。
  12. 重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)の登録制度と第1回の登録証授与式について 、国立科学博物館、2008.10.3
  13. “JAXA's 023”. JAXA (2008年12月1日). 2018年11月8日閲覧。
  14. 「H2ロケット復元へ 宇宙開発“実物”でアピール 」. 産経新聞. 2007年1月7日。
  15. 森山和道、JAXA、H-IIロケットを一般公開、Robot Watch、2007年4月24日。
  16. “JAXA's 014”. JAXA (2007年6月1日). 2018年11月8日閲覧。
  17. “JAXA's 018”. JAXA (2008年2月1日). 2018年11月8日閲覧。
  18. 笹本祐一著「宇宙へのパスポート」朝日ソノラマ、2002年、46頁、ISBN 4-257-03649-4 宇宙へのパスポート - マンガ図書館Z(外部リンク)
  19. 青色の模様に一新されました 栃木県子ども総合科学館、H2ロケットの実物大模型の改装完了 下野新聞 2025年2月15日閲覧。