廃棄物の法的定義と国内外における法規制の概要
📌 主なポイント
- ✓バーゼル条約では、処分がされ、処分が意図され、または処分が義務付けられている物質または物体を廃棄物と定義している。
- ✓日本の廃棄物処理法では、放射性物質等を除く固形状・液状の不要物をごみや汚泥などの具体例とともに定義している。
- ✓日本の行政通達では、物の性状や取引価値の有無など複数の総合的要素を勘案して廃棄物該当性を判断するとしている。
- ✓米国の資源保護回復法(RCRA)では、各種事業活動や施設から生じる多様な状態の物質を対象としつつ、一定の排水や放射性物質を除外している。
- ✓中国の固体廃棄物環境汚染防止法では、生活系ごみ、産業固体廃棄物、危険廃棄物の3つに大分類される。
廃棄物(はいきぶつ)とは、人間活動に伴って発生した不要物であり、その定義や規制は国や国際条約によってそれぞれ異なる基準が設けられています。環境保全や適正処理の観点から、法的な境界線や判断基準が厳格に定められています。
国際的な定義:バーゼル条約
国際的な枠組みであるバーゼル条約において、「廃棄物」とは、処分がされ、処分が意図され、または国内法の規定により処分が義務付けられている物質または物体と定義されています。
日本における法規制と定義
廃棄物処理法に基づく定義
日本国内では、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」第2条において、廃棄物は「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染された放射性廃棄物を除く)」と規定されています。
また、行政上の解釈において、占有者が自ら利用し、または他人に有償で売却することができないために不要になったものを指すとされ、いわゆる有価物は原則として廃棄物には該当しないと解釈されています。ただし、循環型社会形成推進基本法においては、有価・無価を問わず「廃棄物等」として包括的に扱われる場合があります。
廃棄物該当性の総合的判断基準
環境省の通知等では、ある物が廃棄物に該当するかどうかは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無、および占有者の意思を総合的に勘案して判断すべきとしています。
- 物の性状:利用用途に要求される品質を満足し、生活環境保全上の支障がないこと。
- 排出の状況:需要に沿った計画的なものであり、適切な保管や品質管理がなされていること。
- 通常の取扱い形態:製品としての市場が形成されており、通常は廃棄物として処理されていないこと。
- 取引価値の有無:有償譲渡され、客観的な経済的合理性があること。
- 占有者の意思:適切に利用し、または有償譲渡する意思が認められ、放置や処分の意思が認められないこと。
米国における法規制
米国では、連邦法の資源保護回復法(Resource Conservation and Recovery Act/ RCRA)において廃棄物の定義が定められています。同法では、廃棄物処理施設や上下水道施設、大気汚染防止施設から排出されるごみや汚泥、および工業・商業・鉱業・農業・コミュニティ活動から生じる固体、液体、半固体、ガス態の物質が含まれます。ただし、生活排水や灌漑排水の固形物・溶解性物質、特定の工場廃水、放射線源などは除外されています。
中国における法規制
中国においては、「固体廃棄物環境汚染防止法」第八十八条等において「固体廃棄物」に関する規定が置かれています。一般的に、利用価値が無い、あるいは利用価値があったとしても廃棄・放棄されているものが該当し、「生活系ごみ」「産業固体廃棄物」「危険廃棄物」の3つに大分類される仕組みがとられています。