教育・学位

博士(最高位の学位に関する制度と歴史)

博士(最高位の学位に関する制度と歴史)
多くの国の高等教育機関において授与される最高位の学位「博士(はくし・はかせ)」について、歴史、種類、課程・論文博士の仕組み、各国の制度を解説する百科事典記事です。

📌 主なポイント

  • 博士は、多くの国の高等教育体系において最高位に位置づけられる学位である。
  • 日本の学位制度では、主に大学院の課程を修了して取得する課程博士と、論文審査を中心に取得する論文博士の区分が存在する。
  • 1887年(明治20年)に公布された「学位令」により、日本における近代的な博士号の制度が開始された。

博士(はくし、はかせ:Ph.D. または D.Phil.、英語: Doctor's degree)は、多くの国の高等教育機関および体系の中で与えられる学位のうち、最高位のものである。国際的な教育レベルの分類であるISCEDや欧州資格フレームワーク(EQF)においても、最高位のレベル8と定義されている。

呼称と定義の概要

英語圏の「Doctor(ドクター)」に由来し、日常会話などでも「ドクター」と称されることが多い。ただし、病院や診療所における職種としての医師・歯科医師・獣医師に対する「ドクター」という呼称は、厳密には学位ではなく医療従事者としての資格や通称に由来する側面もある。もっとも、これら医療系の職種であっても、大学院の博士課程を修了して学位を取得する者は存在する。

日本の学位制度における博士

日本では、学校教育法第104条に基づき、大学院の博士課程を修了した者、あるいは同等以上の学力があると認められた者に対して博士の学位が授与される。日本における博士の学位授与形態には、主に「課程博士」と「論文博士」の2種類が存在する。

課程博士と論文博士

課程博士(甲博士)は、大学院の博士課程あるいは博士後期課程に在籍し、指導教授のもとで研究を行い、学位論文の審査に合格することで取得する形態である。一方、論文博士(乙博士)は、大学院に長期間在籍せずとも、必要な査読付き論文などの研究実績を積み重ね、大学院が行う論文審査に合格することで授与される日本特有の制度である。

歴史的背景

日本における近代的な学位制度は、1887年(明治20年)に公布された「学位令」に始まる。当初は法学博士・医学博士・工学博士・文学博士・理学博士の5種類が設けられ、授与権者も文部大臣であるなど、国家的な位置づけとして厳格に運用されていた。制度の変遷を経て、現在は専攻分野をカッコ内に表記する方式(例:「博士(文学)」)が採用されており、その分野や名称は多岐にわたる。

よくある質問

博士の読み方は「はくし」と「はかせ」のどちらが正しいですか?
日本の法令上の正式な学位としての読み方は「はくし」ですが、慣用として「はかせ」とも広く読まれています。
課程博士と論文博士の違いは何ですか?
課程博士は大学院の博士課程に在籍して所定の単位と研究指導を経て取得するものであり、論文博士は大学院に頼らず豊富な研究業績や査読付き論文を背景に学位論文を提出し審査に合格して取得する日本特有の制度です。
医師であれば全員が博士号を持っているのですかいいえ
医師免許を持つ者が称する「ドクター」は病院等における職種や通称であり、医学部(6年制)の卒業生には学士(あるいは学士相当)が与えられます。博士号を取得するためには、別途大学院の博士課程等で研究を行い学位論文の審査に合格する必要があります。

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参考文献

1. 新村出編『広辞苑 第六版』(岩波書店、2011年)
2. 文部科学省「我が国の学位制度の主な変遷」
3. 朝日新聞デジタル「『博士』の末は…就職難 かつては名誉、変わりゆく境遇」