印刷技術

網点(ハーフトーン)の仕組みと印刷技術

網点(ハーフトーン)の仕組みと印刷技術
網点(ハーフトーン)は、限られた色数のインクで中間色や階調を表現するための印刷技法です。その仕組み、スクリーン線数、カラー印刷における応用について解説します。

📌 主なポイント

  • 網点は、限られた色数で階調を表現するための印刷技法である。
  • スクリーン線数(lpi)は、網点の細かさを示す指標である。
  • カラー印刷では、モアレを防ぐために各色のスクリーン角度を調整する。
  • デジタル印刷の普及により、PostScript RIPなどを介したデジタル網版が主流となった。

網点(あみてん、英: Halftone)とは、グレイスケールやカラーの画像を、限られた色数の小さな点の集合体として表現し、印刷可能にする技法です。一般的な印刷機は、インクを置くか置かないかという二値的な動作が基本であるため、連続的な階調を持つ写真をそのまま再現することはできません。網点技法を用いることで、人間の眼には中間色や陰影として認識させることが可能となります。

網点の拡大図と遠景での見え方
左: 網点。右: 十分な距離から見ると、網点とこの図は区別できない。

網点の原理

網点による階調表現は、白い背景の上に配置される黒い点の大きさや密度を変化させることで行われます。遠くから見ると、個々の点は識別できず、黒い点と白い背景の面積比率が平均化され、灰色として認識されます。黒い点の面積が大きければ暗い灰色に、小さければ明るい灰色に見えるという視覚的錯覚を利用しています。

カラー印刷への応用

カラー印刷では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色(CMYK)のインクを重ね合わせて色を表現します。各色ごとに網点パターンを生成し、それらを重ねることで、フルカラーに近い色調を再現します。

CMYK分離の色網点の例
CMYK分離の色網点の例。左から、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、それらの合成、人間の眼から見てどう見えることを期待しているかを示す。

カラー印刷において重要なのが「スクリーン角度」です。各色の網点を規則的に重ねると、干渉によって「モアレ」と呼ばれる好ましくない縞模様が生じることがあります。これを防ぐため、各色のスクリーン角度をずらして配置するのが一般的です。

カラー/CMYK網点の例
同じ写真のカラー/CMYK網点
CMYK網点スクリーン角度の例
CMYK網点スクリーン角度の例

スクリーン線数

網点の解像度は「スクリーン線数(lpi: lines per inch)」で表されます。これは1インチあたりの網点の列数を指します。線数が高いほど細部まで鮮明に再現できますが、印刷品質や紙質に依存します。線数が高すぎると、インクの滲みにより点同士がくっつき、階調が潰れてしまう「ポスタライズ」が発生する可能性があります。

モノクロ網点
モノクロ網点、45°スクリーン

デジタル網点とFMスクリーニング

1980年代以降、デジタル技術の発展により、イメージセッターを用いたデジタル網版が普及しました。また、従来の網点(AMスクリーニング)に対し、点の大きさを変えずに配置密度を変化させる「FMスクリーニング」という手法も存在し、高精細な印刷において活用されています。

よくある質問

網点とFMスクリーニングの違いは何ですか?
網点(AMスクリーニング)は点の大きさを変えて階調を表現するのに対し、FMスクリーニングは点の大きさを一定に保ち、その配置密度で階調を表現する手法です。
なぜカラー印刷でスクリーン角度をずらすのですか?
各色の網点を重ねる際に生じる干渉縞(モアレ)を抑え、視覚的なノイズを軽減するためです。
スクリーン線数(lpi)が高いとどうなりますか?
画像の細部がより鮮明に再現されますが、印刷機や紙質によってはインクが滲み、階調が潰れるリスクがあります。

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参考文献

  • 印刷技術概論(日本印刷技術協会)
  • PostScript技術資料(Adobe Systems)